種子島の西京ダム湖面に浮かぶピンク色の鯨 動かないし遊べる訳でもない お腹の中にはすごい機器が隠れていた

2025/07/27 21:30
西京ダムに浮かぶ「ピンクの鯨」。奥で水中装置点検のためダイバーが飛び込む=西之表市
西京ダムに浮かぶ「ピンクの鯨」。奥で水中装置点検のためダイバーが飛び込む=西之表市
 鹿児島県西之表市の総合公園「あっぽーらんど」の一角、県営西京ダムの湖面に、ピンク色の鯨が浮かぶ。動くわけでも遊べるわけでもない物体だが、内部に水流を発生させる機器が隠れており、ダム湖の水質維持に貢献している。

 県営事業で1998年、総合商社イービストレード(東京)の関連会社が設置した。鯨は、水中で流れを生み出す筒状の装置「ジェット・ストリーマー」とつながる機器を守るカバーだ。

 ダム内の水が滞留すると、アオコが発生したり、腐って異臭を発したりして水質が悪化する。西京ダムは主に畑かん用で、水質は重要だ。鯨の内部の機器は、ダム容量約230万立方メートルに相当する水を約15日間で循環させ、薬剤を使うことなく水質悪化を防ぐ。

 カバーが鯨を模した由来は定かでないが、98年に架けられたダムの浮橋名が、公募で「くじら橋」となったことにちなんだとみられる。案内板などはないため認知度は低く、よく「ピンクの象」と勘違いされる。

 3日、機器の定期点検があり、ダイバーが潜って順調な動作を確認。鯨の外装もきれいにした。イービストレードの寺井健太環境バイオ事業室長(34)は「ピンクの鯨が実は水質維持に役立っていると知ってもらえたらうれしい。これからも種子島の畑かんに貢献したい」と話した。

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