「部隊の実力を高めることが(中国軍への)抑止力になる」 退任の陸自奄美警備隊長、部隊の意義や地元との連携を語る

2025/07/31 11:30
退任する陸自奄美警備隊の長谷川健隊長=奄美市名瀬大熊の奄美駐屯地
退任する陸自奄美警備隊の長谷川健隊長=奄美市名瀬大熊の奄美駐屯地
 鹿児島県奄美市の陸上自衛隊奄美警備隊長兼奄美駐屯地司令を2年務めた長谷川健1佐(48)が、8月1日付で防衛省外局の防衛装備庁に異動する。政府は中国の軍事力台頭などを背景に九州・沖縄の防衛力強化を進め、同警備隊はその一翼を担う。任期を振り返るとともに、部隊の活動意義や地元との連携について聞いた。

 -印象的な任務は。

 「任期中は幸運にも災害派遣はなかった。一方で昨年11月に与論島で大雨特別警報が発令され、連絡員を派遣した。住民から『制服姿の隊員がいるだけで安心』という言葉をもらった」

 「自衛隊施設のない島で長期間活動するには災害活動用の物資を備蓄すべきと気付き、与論、天城両町で物資を事前集積する協定の締結につながった」

 -九州・沖縄の防衛力が強化される中、奄美警備隊の役割は。

 「中国軍の艦艇や無人機が奄美大島付近を通過し、活動は年々活発化している。日頃から部隊の実力を高めることが南西地域の抑止力・対処力の強化となる。隊員は最悪の事態でも島を守る決意を持っている」

 -奄美群島で日米共同訓練が相次いでいる。

 「有事において自衛隊と米軍が共同で作戦を進める上で非常に重要。地元の理解や協力が欠かせず、調整を担う九州防衛局に住民の声を届けている」

 「奄美群島では自衛隊施設だけでなく、一般の土地『生地(せいち)』でも訓練ができている。より実戦に近づけられ、安全保障面での意義は大きい」

 -地域と積極的に交流した。

 「これまで以上に関わりを深めたいと思い、イベントの運営協力や住民向けの防衛講話をした。ボランティアでは龍郷町の伝統行事『ショチョガマ』に設営から携わるなど、伝統文化の維持に貢献できたと思う」

 「人との距離が近く、昔からの友達のように接してもらった。外から来た者にはありがたかった。付き合いがなくなるのはさみしい」

 -着任する防衛装備庁での業務は。

 「陸海空の装備品の研究開発に携わる。政府は長射程の地対艦ミサイルや極超音速ミサイルなどの開発に力を入れている。離島では湿気や塩害に耐えられ、故障時に本土へ運びやすいといった条件が必要。奄美に住んだ視点を生かしたい」

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