鹿児島の美術界発展にも尽力した洋画家・絹谷幸二さん 「パワフルな人」「画風受け継ぎたい」 関係者が訃報を悼む

2025/08/02 20:40
文化庁事業で児童に絵を指導する絹谷幸二さん(中央)=2014年11月、鹿児島県南九州市の霜出小学校
文化庁事業で児童に絵を指導する絹谷幸二さん(中央)=2014年11月、鹿児島県南九州市の霜出小学校
 1日に82歳で亡くなった文化勲章受章者で洋画家の絹谷幸二さんは、大胆なフォームと豊潤な色に彩られた「絹谷ワールド」で知られ、後進の指導にも力を入れた。1998年と2011〜24年に南日本美術展の審査員を務め、子どもたちに絵の楽しさを教えるなど鹿児島とも親交が深かった。エネルギーあふれる作品を生み出してきた絹谷さんの訃報に惜しむ声が相次いだ。

 絹谷さんは南日美展を地方の公募展でグレードが高いと評価。鹿児島らしい明るくエネルギッシュな作品を選んでいたという。ともに審査員を務めた西健吉さん(84)は「どちらか一方の作品を選ばないといけない時に『先生ならどうするか』と、所属する独立美術協会の先輩だった海老原喜之助さんの目線を尊重していた」と語った。

 鹿児島独立美術協会代表の日置誠さん(62)は「作品のようにパワフルな性格だった。上京時、名前を呼び激励してくれた」と感謝する。絹谷さんは今春、鹿児島市立美術館で長男幸太さんと次女香菜子さんとともに「親子三人展」を開催したばかり。「絹谷さん独自の技法による作品を堪能できた。元気な姿が見られると思っていたのに」と残念がった。

 東京芸術大3年で油絵を専攻する藤原收望さんは、松陽高校2年の時に南日美展で秀作賞を受賞。「2年前に奈良の個展で初めて会った時、自分の名前と作品を覚えていて感激した。大きな絵からすさまじいエネルギーを感じ進路を決めた」と振り返り、「先生の画風を少しでも受け継ぎ、世の中を明るくする絵を描きたい」としのんだ。

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