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疲労感やほてり、イライラ-。「更年期障害」は女性特有の問題ではなく、男性にも起こり得る。加齢に伴う男性ホルモンの低下が原因で悩んでいる男性は多いという。鹿児島市の福元クリニック(内科・泌尿器科)の福元和彦理事長(45)に症状や予防法を聞いた。
男性ホルモン(テストステロン)は、筋肉を作ったり性機能を保ったりするほか、協調性を図る「社会性のホルモン」とも呼ばれる。20歳をピークに次第に減り、ストレスや睡眠不足でも低下する。
男性の更年期障害は、男性ホルモンの減少によって生じる。症状に個人差はあるものの、女性の場合は閉経前後の時期に発症することが多いのに対し、男性は40代以降に多くみられるという。
症状は(1)精神(抑うつ、不安感、不機嫌)(2)身体(ひどい発汗、睡眠障害、筋肉の痛み)(3)性機能(性欲低下、勃起障害)-の大きく三つ。活力や筋力が減ることで、生活習慣病や心筋梗塞、認知症、骨粗しょう症のリスクを高める恐れもある。
やる気が出ず、落ち込みが激しいなどの症状から、うつ病との見分けがつきにくい。心療内科で処方された薬を飲んでも効果が出ない時は、更年期障害の可能性がある。
治療は、男性ホルモンを注射で補充する方法がある。予防するには生活習慣を整え、ストレスを減らすことが大切だ。福元理事長は「リフレッシュするために趣味を持つなどして人生を楽しんでほしい。栄養バランスの良い食事や良質な睡眠も必要」と話す。
ただ、男性更年期の認知度はまだまだ低いようだ。厚生労働省が2022年、約2000人の男性を対象にした調査では、男性にも更年期に関係する不調があることを「よく知っている」と答えた人は、40代10.1%、50代15.7%にとどまった。更年期症状を自覚したが、医療機関を受診していないと答えた人はいずれも86%に上った。
福元理事長は「“男性らしさ”にとらわれ、弱みを見せられない人もいる。思い当たる症状があれば、我慢せずに受診してほしい」と呼びかけた。