左折車線上に残され、移転措置命令が出されたバス停=6日、鹿児島市吉野町
鹿児島市吉野町の仙巌園前バス停標識の移設を国が県バス協会に求めている問題で、国土交通省鹿児島国道事務所は6日、現状では安全性が確保できないとして、道路法に基づく移転措置命令を出した。期限は8月末。国道事務所は2~4月の計3回、移設勧告を出したが、協会はバス停を利用する事業者の賛否が分かれているとして承諾していなかった。
国道事務所は、バス停が移転されず事故対策事業を完了できないため、左折車線の幅が計画より約60センチ狭くなり安全な走行が妨げられていると説明。加えて、バスが客の乗降時に新設されたバス停留スペース(バスベイ)ではなく左折車線上に止まるため、後続車の追突や、バスを追い越そうとして接触するなど事故の危険性があるとしている。
バス停は鹿児島交通と南国交通が利用する。鹿児島交通は渋滞悪化などを理由に移設に応じず、南国交通は安全性が確保されるとして賛成している。移転措置命令について協会は「担当者がおらずコメントできない」としている。
仙巌園前付近の国道10号は昨年3月に通行ルートを変更。同園前付近から旧集成館前までの約200メートルに左折レーンを新設し、磯方面に向かう一方通行の市道は廃止した。それに伴い、事故対策を目的に車道を一部拡幅しバスベイが設けられたが、以前のバス停が移設されずに残っている。
市道跡にはJR仙巌園駅が建設され、今年3月15日に開業した。鹿児島交通は、国や鹿児島市に同駅開設とそれに伴う道路工事をしないよう求める仮処分を鹿児島地裁に申し立てている。