砂州で本土とつながった知林ケ島=指宿市東方の魚見岳
鹿児島県指宿市田良浜沖に浮かぶ知林ケ島は、鹿児島湾内で最も大きな島として知られる。3~10月の大潮と中潮の干潮時は、約800メートルの砂の道「ちりりんロード」が出現して本土とつながり、潮風を浴びながら散策を楽しむ観光客らでにぎわう。
周囲約3キロ、約60ヘクタールの無人島で、北に約320メートル離れた小島もある。かつては桜島が湾内最大の島だったが、1914(大正3)年の大正噴火で陸続きとなったため、知林ケ島が格上げされた。
指宿市などによると、名前の由来は諸説ある。船乗りが夜間、風でこすれ合う松の木の音を頼りに航行したことで「林を知る」から付けられたとする説や、松ぼっくりの古語「ちちり」を語源とする説などだ。
島と陸地を結ぶ砂州は、海流がぶつかり境目に砂が堆積して生まれる。「絆」や「架け橋」を連想させ、「縁結びの島」として人気だ。最近では、長澤まさみさんが主演した公開中の映画「ドールハウス」のロケ地となったことも、ひそかに話題を呼んでいる。
砂州の出現予想時刻は、市の観光サイト「いぶすき観光ネット」で紹介する。市観光施設管理課は「島に水道やトイレがなく、潮が満ちると帰れなくなることも。事前に十分準備をした上で渡島して」と呼びかける。