龍門滝(奥)の展望所につながる、崩落した遊歩道=14日午前8時40分ごろ、姶良市加治木
8日の記録的な大雨で甚大な被害が出た鹿児島県の姶良市と霧島市の観光スポットでは、お盆の書き入れ時に大きな打撃を受けている。伝統行事や全国から集まるイベントも中止になるなど、影響は広がっている。
姶良市によると、日本の滝100選に入っている龍門滝(加治木町木田)は、滝につながる遊歩道やのり面が崩落し、展望所が立ち入り禁止になっている。近くでそうめん流し店を営む吉村一美さん(66)は9日に店を再開したものの「例年この時期は2、3時間待ちになるが、今はお客さんは半分以下」と嘆く。
布引の滝(姶良市脇元)も落石や土砂崩れの影響で遊歩道や柵が壊れ、立ち入り禁止になっている。2018年に落石で遊歩道が損壊し、整備を終えた今年7月、7年ぶりに見物可能になったばかりだった。国史跡の白銀坂(同)も土砂崩れが複数確認されており、14日に通行禁止となった。
同市で14年ぶりに開催予定だった全国自然敬愛サミット(21日)は中止が発表された。日本の森林浴の森、滝、なぎさの各100選の自然を有する自治体でつくる協議会主催。市商工観光課の杉尾典彦課長(55)は「15自治体の関係者が集い、姶良をPRする機会だったが、現地を案内できる状況にない」と話した。
戦国武将・島津義弘ゆかりの伝統行事「加治木太鼓踊り」(16日)も中止に。保存会の福元規夫会長(70)は「国道10号が通行止めとなり、抜け道になっている通りを踊りで使うことはできない」と話した。
霧島市内でも台明寺渓谷公園(国分台明寺)や大出水の湧水(横川町下ノ)、若尊鼻遊歩道(国分敷根)などで被害があり、当面の間利用中止になっている。