牛のゲップが〝資産〟に変わる? 温暖化の原因メタンガス抑制、日本初の実測型カーボンクレジット発行――鹿児島

2025/08/18 05:54
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 肉用牛の生産で出る温室効果ガス(GHG)排出量削減の実証実験に取り組むJA鹿児島県経済連(鹿児島市)が、二酸化炭素換算で68トンを削減したとして、民間主導のカーボンクレジット制度での発行が認められた。経済連によると、実際の飼育環境でのデータに基づいたクレジット発行は国内で初めて。

 家畜のげっぷや排せつ物由来のメタンや一酸化二窒素は、温室効果が高いとされる。畜産が盛んな鹿児島県は、GHG排出量の約1割を家畜由来が占めると推計されており、対策が課題となっている。

 実証実験は昨年11月から約半年間、日置市の肉用牛実験農場で、1牛舎の肥育牛46頭を対象に実施した。まずは従来通りの給餌で基準排出量を算定。その後、メタン発生を抑制する成分を含む補助飼料を給餌し、それぞれの排出量の差から削減量を算出した。

 経済連によると、クレジット発行は7月。今回削減分のクレジットは、経済連と一緒に取り組む「Linkhola(リンコラ)」(東京)が運営するGHG排出削減量を売買するプラットホーム上で、希望者との相対取引を目指す。

 実証実験では、宇都宮大学農学部の池口厚男教授監修のGHG算定ロジックを活用。センサー機器開発「AmaterZ(アマテルズ)」(北海道)も協力し、現在は豚や鶏でも同様の手法で試験中だ。

 経済連の柚木弘文会長は「実測データに基づく独自のGHG削減方法で、クレジット発行に成功したことは自信につながる。鹿児島の畜産業に新たな可能性を示す大きな一歩」としている。

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