32年前と同じ崩壊箇所――記録的大雨、線路の土台が根こそぎ流出 JR肥薩線、復旧阻む険しい地形…道路なく「重機や資材運べない」

2025/08/19 05:49
大雨の影響で土台が崩れ線路が宙に浮く肥薩線表木山-日当山間=12日、霧島市隼人(JR九州提供)
大雨の影響で土台が崩れ線路が宙に浮く肥薩線表木山-日当山間=12日、霧島市隼人(JR九州提供)
 8日の記録的大雨の影響で年内運休見通しとなったJR肥薩線の吉松-隼人(鹿児島県)について、JR九州は18日、早期復旧が難しい理由として、被害が最も大きい区間が険しい山中にあることから、「現地まで重機や資材を運ぶのも困難なため」と説明した。同社は同区間を復旧させるとしており、現在は工法などの検討を進めている。

 同社によると、表木山(霧島市隼人町嘉例川)-日当山(同市隼人町内)で、約50メートルにわたり線路を支える土台(築堤)が崩壊した。現場は1993年の8・6水害でも被災しており、周囲に川や土砂の流入を防ぐコンクリート擁壁を設けていたが、擁壁ごと流出していた。担当者は「近くに道路もなく、現場周辺の土地確保にも時間がかかりそう」と話した。

 吉松-隼人間の1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)は2023年度479人。同区間は高校生による通学利用が多いのが特徴で、同社は夏休み明けの9月1日から代替バスを運行する。「なるべく早く詳細な内容をお示ししたい」として、運行時間などを調整している。

 肥薩線(八代-隼人)は、2020年7月の熊本豪雨により八代-吉松が不通となっているため、全線で運休となった。

 今回の大雨では、日豊線も被災し不通区間が出ている。鹿児島-国分は21日、西都城-霧島神宮は26日、霧島神宮-国分は9月下旬までの運行再開を見込む。

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