最低賃金の改定に向けた審議会の第4回専門部会=19日、鹿児島市の鹿児島合同庁舎
鹿児島地方最低賃金審議会(会長・川口俊一社会保険労務士)は19日、改定額を議論する4回目の専門部会を開いた。現行の最低賃金953円に対し経営者側が、中央最低賃金審議会の示す区分目安と同額となる「64円増が妥当」と主張した。目安額通りに引き上げられれば1017円となり、初めて千円台に乗ることがほぼ確実となった。
目安額の64円は、時給で示す現行方式となった2002年以降、上げ幅、額ともに過去最高。この日は、労働者側が求める引き上げ額88円とは24円の開きがあることなどから、結論は持ち越された。全国では目安額を上回る答申が相次ぎ、現行千円以下の県も軒並み千円台となっており、21日に開かれる5回目の専門部会が注目される。
経営者側は、引き上げの必要は認識しているとしつつ、「鹿児島の企業はコストに占める人件費の割合が高い。急激な賃上げはかえって非正規化や廃業を招く恐れがある」と指摘。代表委員を務める県経営者協会の浜上剛一郎専務理事は「64円でもギリギリの額。段階的で緩やかな賃上げを求める」と話した。
一方、前回の専門部会で88円増の1041円への引き上げを求めた労働者側は、改めて大幅アップの必要性を主張。代表委員の白石裕治連合鹿児島副事務局長は「鹿児島は賃金の低さに加え、全国と比べて最低賃金付近で働く人が多い」とグラフを示しながら説明し、「地域間格差の是正も必要だ」と訴えた。
部会には労使のほか、公益委員の計9人が参加した。