あっという間に水位2メートル…「絶対に手を離さない」迫る濁流、小学1年の子と車から逃げた――台風で冠水、孤立住民をボートで救出 鹿児島

2025/08/23 05:54
ボートで救出された現場近くの光景。車の天井近くまで冠水した=21日午後5時半ごろ、南さつま市加世田内山田(鎌田啓嗣さん提供)
ボートで救出された現場近くの光景。車の天井近くまで冠水した=21日午後5時半ごろ、南さつま市加世田内山田(鎌田啓嗣さん提供)
 台風12号の影響で急激に冠水した鹿児島県南さつま市加世田内山田では21日夕、多くの住民や車の身動きがとれなくなった。不安な気持ちを募らせながら、取り残された場所で救助を待った。

 小学生を含む住民ら5人はアパートで孤立した。会社員鎌田啓嗣さん(47)は午後4時ごろ、水位の上昇に気付き「まずい、まさか」。午後6時ごろに2メートルほどになり、2階通路で救助を待った。目前では無数の車が水に漬かっていた。

 同市加世田唐仁原の会社員福崎友香さん(41)は同じアパートへ逃げ込んだ。道路の水かさが増す中、車が脱輪したからだ。万世小学校1年の次女の手を握りしめた。約1時間待ち、消防のボートで救出された。友香さんは「怖かった。絶対に手を離さないと思った。こんなことが本当にあるなんて」と振り返った。

 加世田川近くに住む井田ツルコさん(81)は午後6時ごろ、腰の高さまで水位が上がる中、消防職員に背負われて避難した。自宅では土砂がガラス扉を突き破り流れ込んだ。「家中が床上浸水になり寝る場所がない。これからどこで生活すればよいのか」と嘆いた。

 Aコープサザウィン店は正面にある国道270号が冠水し、一時「陸の孤島」になった。店舗は少し高い所にあり、水没を逃れようと店先に30台以上の車が避難。従業員を含め計約50台が待機した。豊留周作店長(56)は「縦列駐車した車がずらっと並んでいた。水が引くのを待つしかなかった」と語った。

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