車両の右折を待つ市電=鹿児島市加治屋町の高見馬場駅周辺(画像の一部を加工しています)
鹿児島市電で2025年度、運行トラブルが相次いでいる。市交通局電車事業課によると、4~7月に重大事故が2件、重大事故につながりかねない「インシデント」が1件発生。ここ数年の年間発生数に匹敵する。
重大事故は、いずれも車両脱線。4月2日に落ち葉の影響で滑走し、軌道敷内に停車中の車両と衝突して発生した。同22日は運転終了後の入庫時に運転士がポイントの確認を怠ったため起きた。インシデントは7月7日に鹿児島駅前電停で市電の後輪が異なる軌道に入り、緊急停止したトラブル(異線進入)が該当する。
重大事故・インシデントの発生数の合計は、21年度と22年度は2件、23年度と24年度は3件だった。同課の末吉健治課長は「率直に多いと感じる。重大事故は一件でも起きてはならない。基本的な動作の徹底を図り、設備面の改修なども検討している」と話した。
◇市交通局「軌道敷前での確実な停止を」
軌道敷内での車との接触事故も7月までの4カ月間で11件起きている。7月下旬には5日間で3件発生。いずれも車両が市電の進行先直前で右折進入する際に起きた。
接触事故は増加傾向で、24年度は過去5年で最も多い32件だった。交通局では、交差点前で電車と並走する車両や交差点で停車する車両に対し、警笛を鳴らして注意を促す。末吉健治電車事業課長は「ドライバーには右折時は軌道敷前で確実に停止し、対抗する市電や車だけでなく、右後方から接近する市電にも注意してほしい」と呼びかけた。