「こんなときこそ、子どもに思い出を」――大雨で甚大被害、商工会がこぎつけた“姶良夜市” 誕生日に被災した実行委員長の笑顔

2025/08/25 14:32
大勢の人でにぎわう「姶良夜市」=24日午後6時20分、姶良市宮島町
大勢の人でにぎわう「姶良夜市」=24日午後6時20分、姶良市宮島町
 8日の大雨で甚大な被害が出た鹿児島県姶良市で24日、市商工会主催の「姶良夜市」が予定通り行われた。子どもらに楽しい思い出をつくり、復旧復興につなげようと、市役所周辺の歩行者天国に約70店が並んだ。くしくも誕生日に被災した実行委員長の満留章吾さん(45)は「市民が少しでも明るい気持ちになれれば」と笑顔で話した。

 同市加治木町反土の自宅2階で就寝中だった満留さんは8日午前3時ごろ、玄関が冠水しているのに気付いた。外を見ると、近くの網掛川が氾濫。床上浸水でテレビや冷蔵庫、エアコンが使えなくなり、車2台は水没して廃車になった。

 夫婦で営む自動車販売・整備会社の仕事で、約30台の水没車両をレッカー移動した。自宅の片付けは後回しにし、消毒できないまま今も臭いが残っている。

 市内では民家の倒壊で1人が死亡、床上・床下浸水は400棟を超え、断水は一時1万7000戸に達した。

 商工会青年部員らでつくる実行委員会では、満留さん以外にも店舗が浸水するなど被災者が複数いた。伝統芸能やイベントの中止が相次いだが、「こういうときだからこそ開催しよう」とまとまったという。

 夜市は、大雨で亡くなった人に黙とうをささげて開幕。いきなり強い雨に見舞われたが、雨が上がると多くの親子連れらでにぎわった。歌や踊りのステージも盛り上がり、「楽しんでもらえて大満足。自分も前向きな気持ちになれた。これをステップに復旧復興に向かっていければ」とほほ笑んだ。

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