農業用水路に流れ込んだ土砂の撤去作業=13日、霧島市隼人町松永
8日の記録的大雨による鹿児島県内の農林水産業被害額が78億8343万円に上ることが25日、県のまとめで分かった。今後の調査で、さらに被害額が増える可能性がある。21日の台風12号でも水稲の倒伏や家畜被害が出ており、県は被害額を含め調査している。
大雨による農業関係は69億9693万円。姶良・伊佐地域を中心に、耕地関係が69億2320万円と大半を占めた。農地と農業用施設の計1427カ所で、農地やのり面、農道の崩壊、用水路の埋没などが確認されている。
農作物は水稲を中心に89.9ヘクタールで5388万円。水田への土砂流入などが主な要因となった。農業施設は姶良中央家畜市場への浸水など3件(被害額調査中)。ビニールハウスの暖房機の浸水、茶防霜ファンが倒れるといった農業・畜産業用機械は27件で1985万円だった。
林業関係は8億8650万円。うち林地崩壊など治山被害が6億1700万円(19件)で、うち霧島市が16件だった。のり面や路肩の崩壊といった林道被害は2億6950万円(95件)で、姶良と霧島両市が約7割を占めた。水産業関係は、霧島市のブリ養殖業者の倉庫や事務所、トラックなどに土砂流入があった。
台風12号関連では、日置市やいちき串木野市などで、水稲の冠水や倒伏が発生、ネギやインゲン、オクラやキュウリにも被害が出ている。畜舎への浸水により、南さつま市でブロイラー300羽、薩摩川内市で豚15頭が死んだ。ほかにも農道崩壊などがあった。
県の各関係課は「被害の全容把握に努め、どのような取り組みができるか検討したい」としている。