パーティー後、女子と楽園に繰り出すことになり、喜びが爆発
午後10時45分。女子寮の門限である11時が差し迫ってきていた。僕とヤマナカが女子に声をかけられずモジモジしていると、女子から話しかけられた。ユキコちゃんだった。
「ねえ。よかったら一緒に外に遊び行きませんか?」
「行きます!」
すさまじいスピードで返事した。ユキコちゃんの後についていき、女子寮の外に出ると、女子寮生が3人と男子寮生が2人いた。どうやらユキコちゃんは4人の仲良しグループで行動していたらしいが、男子の2人組に誘われ、男女の人数を合わせるために声をかけてくれたらしい。
女子寮の前にはおびただしい数のタクシーが並んでいた。20台ぐらいは並んでいたと思う。遊びに行く約束を取りつけられたグループのために、先輩がタクシーを呼んでくれているのだ。
「スゲー!」
思わず声が出た。男女で分かれてタクシーに乗り込み、『セントラル』という施設で待ち合わせした。そこは事前に先輩に教えてもらった、ボウリング、カラオケ、ビリヤードが朝までできる楽園らしい。
1メーターほど走ると、セントラルが見えてきた。またしても、おびただしい数のタクシーが並んでいる。ダンスパーティー終わりのほとんどの寮生が集まっていた。ユキコちゃんグループとも無事に合流できた。まさか自分の人生に男女4対4で遊ぶなんてことが起こるとは!彼女もできたことないし、手もつないだことないんだぞ!
そこからは本当に夢の中にいるようだった。まずボウリングでは、男女のペアになってチーム戦。僕はユキコちゃんとペアになった。ハイタッチをするために、必死でスペア、ストライクを出した。絶好調だった。そのたび、ユキコちゃんに手汗でダメージを与えてた。ユキコちゃんはボウリングの風が出るところでやたらと手を乾かしてた。
未明の午前2時ぐらいからはカラオケタイム。ペアに分かれて点数対決なんかもした。メドレーを入れてマイクを回し、みんなで歌った。みんな誰かしらの手汗でダメージを受けた。青春には汗はつきものだ!
プルルルプルルル!
夢の終わりを告げるベルの音が、部屋に鳴り響く。僕は受話器をとった。
「お時間5分前になります。退室の準備をお願いします」
「5分前だって」
男子に一気に緊張が走る。携帯番号を聞かなければ。何か理由をつけたい。携帯番号を聞く理由を。男子が急に黙ると、ユキコちゃんが口を開いた。
「またこのメンバーで遊びたいから、携帯番号交換…」
「する!」
一流ボクサーのカウンター並みのスピードで返事してた。
「じゃあ赤外線通…」
「するするする!」
サトルは携帯番号を手に入れた。
つづく