〈資料写真〉大型無人機シーガーディアン(MQ9B)=2024年6月14日、鹿屋市の海自鹿屋航空基地
防衛省は29日、2029年度までに海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)に、米ジェネラル・アトミクス社(GA社)製の大型無人機シーガーディアン(MQ9B)6機を配備すると明らかにした。南西諸島など周辺海上域の警戒監視強化が目的。27年度に2機の運用を始める。26年度予算の概算要求に関連経費を計上した。海自が同機体を特定基地へ配備するのは初めて。
鹿屋基地へ27年度に2機導入し、海自の監督の下、GA社が試験的に運行する。28年度には、25年度取得する2機(同年度予算)が配備され、年度途中から海自が計4機を直接運用する。29年度に2機が配備され計6機態勢となる見込み。
概算要求の関連経費は、MQ9B4機と地上操縦装置の調達経費など770億円。さらに、整備格納庫の設計、用地取得など鹿屋航空基地の施設整備に111億円、GA社の試験運行による対領空侵犯措置への無人機活用の検証に11億円を盛り込んだ。
MQ9Bを巡り海自は23年5月〜24年9月、鹿屋航空基地や八戸航空基地(青森)を拠点に試験運用していた。
そのほか、航空自衛隊馬毛島先遣隊に30人追加。現行の60人に合わせ計90人態勢とする。海自奄美基地分遣隊(瀬戸内町古仁屋)に輸送艇(縦35メートル、幅8メートル)1隻を配備、輸送隊20人を増員する。
県内の自衛隊施設整備関連費は総額391億円を計上した。南西諸島の防衛強化のため、陸上自衛隊奄美駐屯地(奄美市名瀬)・瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子)整備に66億円。奄美駐屯地には保管庫、門型洗車場、隊庁舎を新設、瀬戸内分屯地には火薬庫2棟、レンジャー訓練棟を新設する。
県内の火薬庫の新設・改修には82億円を充てる。瀬戸内分屯地のほか、さつま町の火薬庫に道路などの関連施設も含めた設計費を計上。国分駐屯地は建て替えの調査設計、鹿屋航空基地では建て替え改修費を要求する。
◇MQ9Bとは 米ジェネラル・アトミクス社製の無人機。全長約11メートルの流線形の機体で主翼幅約24メートル、Y字型の尾翼を持つ。上空1万2000メートルの「高高度」から高精度で撮影し、センサーで悪天候でも目標物を確認できる。哨戒機が海中に投下したソノブイ(水中聴音機)の無線を機体前方で受信して潜水艦を探知、基地とデータを即時共有できる。最高速度は時速約370キロ。連続24時間以上の飛行が可能で青森と鹿児島間を約7時間で飛行する。騒音は単発プロペラ機の軽飛行機と同程度とされる。