被災地からのSOS! 愛車が水没、シェアカーも需要に追い付かず――「大雨で車が浸かった」JAF救援要請500件、復旧支援へ車の寄付募る 鹿児島

2025/08/31 06:39
水没した車を移動させる警察官=22日、南さつま市加世田内山田
水没した車を移動させる警察官=22日、南さつま市加世田内山田
 相次ぐ水害で鹿児島県内では多くの車が水没した。日本自動車連盟(JAF)鹿児島支部では、霧島市や姶良市で大雨に見舞われた8日、南さつま市を中心に台風12号の被害が出た21日に、救援要請が急増した。生活や事業に欠かせない移動手段を失った被災者からは苦労の声が聞こえる。

 同支部によると、冠水関連の救援要請は、線状降水帯が発生した8日以降18日までに436件、台風12号が上陸した21日以降23日までに58件あった。通常は冠水による要請はほとんどないという。浸水車両の扱い方について「車両火災につながる恐れがあるため、修理するなど安全性が確認されるまでエンジンをかけないで」と呼びかけている。

 姶良市加治木町木田の男性会社員(47)は自身の車をはじめ、妻(43)と長女(22)の車計3台が水没した。5年前に建てた住宅は床上約20センチまで浸水した。

 最も苦労したのが、災害ごみの搬出だ。親戚に車を借りて、ごみ捨て場まで何度も行ったり来たりした。男性は、霧島市に臨時拠点を置き被災者に無償で車を貸し出している日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)のサービスを利用。「車がないと、通勤も買い物もできず不便」と話す。

 南さつま市加世田内山田で屋根瓦を製造する下舞工業所は、加世田川の増水により営業車や瓦の搬出に必要なダンプカーなど計6台が冠水。代替のめどが立たず、新規取引が中断するなどしている。浸水した工場の片付けに追われる下舞栄子取締役(68)は「仕事にならない。朝から晩まで片付ける日々。早く元の状態に戻したい」と語った。



 8日の記録的大雨により鹿児島県内各地で車が冠水した被害を受け、被災者に車を無償で貸し出している日本カーシェアリング協会は29日、車100台が不足していると明らかにした。復旧作業を後押しするため、車の寄付を募っている。

 同協会によると、28日までに470件申し込みがあり、うち459台が霧島市と姶良市からだった。円滑な運用には150台確保する必要があると見込むが、52台にとどまっている。霧島市の国分シビックセンターを臨時拠点として実際に稼働しているのは33台。

 車検が3カ月以上残っており、安全に走行できる乗用車や軽トラックなどを募っている。パーツを活動資金にできるため、車検切れの車も受け付けている。

 同協会によると、29日までに3法人から計10台、個人3人からそれぞれ1台、計13台の寄付があった。吉澤武彦代表理事(46)は「被災者に一日も早く車を届けたい。車を手放そうと検討している方に力を貸してほしい」と話している。

 電話=050(5799)4740=で受け付ける。同協会ホームページの問い合わせフォームでも可能。水曜休み。

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