鹿児島県の三島村は、住民や役場職員の個人情報を勝手に公開し、中傷する投稿がインターネット掲示板で相次いでいるとして、防止策を盛り込んだ条例を年内にも制定する方針であることが8月31日、南日本新聞の取材で分かった。被害者の相談窓口整備や、掲示板の運営者に削除要請する仕組みづくりを想定する。ネット上での中傷防止を目的とした条例制定は県内初となる見通し。
村議や住民によると、掲示板上での中傷は遅くとも数年前から確認された。31日時点でも、職員や住民の尊厳を傷つけるような書き込みが残っている。いずれも匿名による投稿。職員の一人は、実名を出された上で事実無根の内容が書き込まれているとして、5月に県警に被害届を出した。
村は、この職員の知人住民から対策を打ち出すよう6月に要望を受けたことなどから条例制定の検討を開始。他自治体の先行事例を参考にしながら準備を進めている。全職員を対象にしたネットリテラシーの研修も検討している。
大山辰夫村長は「人権侵害に歯止めがきかなくなっており、看過できない状況だ。方策を考え、村として抑止できる仕組みを早急に整える」と話した。
村議会は10月の議会で、条例制定を求める要望書を村に提出する予定。
南日本新聞が県内全自治体を対象にした取材では、29日時点でネット上での中傷を防ぐ条例は制定されていない。