「予防にはワクチン接種が有効」と話すあおぞら小児科の立元千帆院長=8月、鹿児島市
激しいせきが続く「百日ぜき」の患者数が今年、鹿児島県内で過去最多を更新している。8月31日現在、1567人で、これまで最も多かった2019年の約2倍だ。新生児や乳児は重症化しやすく、全国では死亡例もある。あおぞら小児科(鹿児島市)の立元千帆院長(51)に症状や予防法を聞いた。
百日ぜきは百日ぜき菌による感染症。せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)や接触で感染し、感染力は非常に強い。潜伏期間は7~10日間。せきが次第に激しくなり、ヒューという音をたてて息を吸う様子がみられることもある。立元院長は「熱もないのに睡眠を阻害するせきが出る時は、感染している可能性が高い」として受診を勧める。
特に注意が必要なのが新生児や乳児で、無呼吸や息切れを起こすこともある。
予防にはワクチンが有効だ。生後2カ月から百日ぜきを対象とする5種混合ワクチンの接種が推奨されている。生後2~4カ月の間、約1カ月おきに3回接種し、1歳6カ月ごろに4回目を打つ。
ただし、効果は就学前に下がるとされる。県によると、8月31日までの患者1567人のうち、10~14歳は862人、5~9歳は413人。両世代で全体の8割を占め、学校などで感染が広がっているとみられる。
3種混合ワクチンは大人も接種可能だ。5000円~1万円程度の自費診療で妊婦も打てる。
8月25~31日の県内感染者は17人。7月に比べて減少傾向にあるが、予断を許さない。立元院長は「手洗いうがいやせきエチケットなどを心掛け、新生児への感染を防いで」と呼びかける。