車がほとんど通らない網掛橋(中央奥)近くの国道10号=10日午後3時半、姶良市加治木町錦江町
8月8日の大雨で被災し通行止めが続く鹿児島県姶良市加治木の国道10号網掛橋近くの店が苦境に陥っている。1日約2万5000台あった交通量が激減し、閉店を決めた店もある。「創業以来、最大の危機」。復旧の見通しの立たない現状を嘆き、来店を呼びかける声は切実だ。
コッペパン専門店「いっぺこっぺハウス」は9月末で店を閉じる。県産小麦で作ったパンを売りに5年前開店し順調にファンを増やしたが、大雨後に売り上げが急減。店を営む木元繁さん(71)は、復旧時期が分からない上、11月に最低賃金も上がることから苦渋の決断をした。「仕方ないが残念」と声を落とした。
橋の近くまで車も人も通れるが、橋より随分手前に「この先通行止め」と知らせる看板が置かれているため、看板から橋までの交通量がほぼなくなった。
創業200年を超す加治木まんじゅう店「美坂饅頭屋」と創業100年近い「川村ふとん店」は「かつてないピンチ」と訴える。
「美坂饅頭屋」は「営業中」ののぼり旗を道路近くに立て必死にアピールするが、客数は落ち込んだまま。店主の美坂昌徳さん(60)は「橋が通れるようになるまでどれだけかかるのか。先が見えず、とても不安」と表情を曇らせる。
「川村ふとん店」代表の川村吉一さん(61)は「お客さんがゼロの日も珍しくない。精神的にきついが、周辺の店で連携して何かできないか考えていきたい。県民の皆さんに加治木を訪れてほしい」と訴えた。