仙巌園に導入される電動モビリティー=10日、鹿児島市の尚古集成館別館
鹿児島市の仙巌園は、WHILL(ウィル、東京)が開発した電動モビリティー(乗り物)の貸し出しを10月から始める。車いす型とスクーター型の各1台で、運転免許は不要。高齢者や障害者らにも気軽に園内を散策してもらう狙い。隣接する尚古集成館も含めた敷地内(約5万平方メートル)で使える。
同社によると、安全を考慮して、歩くスピードよりもやや遅めに設定している。5センチまでの段差なら乗り越えられ、小回りも利く。指宿市のフラワーパークかごしまや阿久根市役所など国内110施設に導入実績があり、世界文化遺産では初めて。
仙巌園内は、砂利道や坂道が多いものの文化財保護の観点から大幅な改装ができず、バリアフリー化への対応が課題だった。
手動の車いすに加え、利便性やデザインを踏まえてモビリティーの導入を決めた。1台2000円で貸し出し、終日利用できる。
久保誠支配人(55)は「利用者はこれまでより少ない負担で楽に園内を駆け回れる。これからも(年齢や障害の有無に関係なく誰でも旅行できる)ユニバーサルツーリズムの環境整備を模索したい」と話した。