小宝島を紹介する十島村役場のホームページ
6月下旬から群発地震が続く鹿児島県十島村のトカラ列島近海(小宝島付近)で、火山活動を示すガスや熱水が海底から湧き出していることが海上保安庁の海底地形調査で分かった。群発地震の震源域とは一致しない。調査では、地震活動の痕跡を示すような、顕著な地形の変化はみられなかった。
同庁によると、調査は7月31日~8月5日に実施。測量船でソナーから音波を発して調べ、2008年、15年の地形と比較した。能登半島地震でみられたような地形変化はなく、航空機や衛星での調査と合わせ、海底噴火は起きていない可能性が高いと結論づけた。
小宝島と宝島の北西や南の海底17カ所(水深120~640メートル)で、ガスや熱水が湧き出す噴気活動を観測した。しかし、群発地震の震源域では確認されず、地震との関連は不明。
京都大学火山防災研究センターの中道治久教授は「海底からの噴気は海底火山の若尊(わかみこ)カルデラ(鹿児島湾)でもみられる。今回見つかった噴気は火山ガスの湧出を示し、火山活動の存在を示唆する」とコメント。同庁は火山ガスが広い範囲に存在する可能性が明らかになったとしている。
火山活動との関連について、同庁沿岸調査課の南宏樹課長補佐は「悪石島の南にあるカッパ曽根の山頂と、その西のくぼ地に火山性地形にみられる特徴があり、局所的に震源域と重なっている」と話した。