上野公園だけじゃない! いるぞ、いるぞ――西郷どんと愛犬ツンの〝ふるさと物語〟。地元に息づく絆と歴史をたどった

2025/09/14 11:42
彫刻家・中村晋也さんが制作した「ツン」の銅像。藤川天神の入り口に立つ=薩摩川内市東郷町藤川
彫刻家・中村晋也さんが制作した「ツン」の銅像。藤川天神の入り口に立つ=薩摩川内市東郷町藤川
 大の犬好きだったといわれる西郷隆盛。東京・上野公園の銅像が連れているのが、愛犬「ツン」だ。その生まれ故郷の薩摩川内市では、各地でさまざまな面影を見ることができる。

 ツンは薩摩犬で、西郷が同市東郷町藤川を訪れた際に気に入り、地元の人から譲ってもらったとされる。NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」が放映された1990年、彫刻家中村晋也さん制作の銅像が藤川天神に完成した。参拝客を迎えるように入り口に立つ。

 春の臥竜梅だけでなく四季折々に散策を楽しめる藤川天神。リード装着やふんの持ち帰りなどのルールを守れば、ペット同伴も可能だ。子どもと犬用の顔出しパネルもある。

 西郷が好んで訪れた同市湯田町の川内高城温泉には、入浴中の西郷に寄り添うツンの像がある。2018年10月、明治維新150年と大河ドラマ「西郷どん」の放映を記念して建てられた。そろって前を見据える様子がほほ笑ましい。

 同町の道路沿いにも同時期、西郷とツンの像が建てられた。身長178~180センチとされる西郷を実物大で再現。鉄砲を持って狩りに向かう姿で、ツンの表情も引き締まって見える。国道3号を下園薩男商店の工場方向へ曲がって約900メートル。

 薩摩川内の観光物産キャラクターにもなっている。17年に誕生した「西郷つん」は臥竜梅の耳飾りに川内大綱引の首輪を付け、イベントなどでPRに一役買う。20年の「ゆるキャラグランプリ」で全国12位に入った。川内駅の土産物店「駅市」では、キーホルダーやエコバッグなど関連グッズを販売中だ。

 【番外】薩摩犬の先祖は「甑山犬」と呼ばれる甑島が原産の日本犬といわれる。椋鳩十の作品「孤島の野犬」の題材になり、記念の像が下甑島に立つ。西郷とともに激動の時代を生きたツンのたくましさと重なる風貌だ。

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