参院選を前に推薦状を渡し合った自民と公明の県組織関係者=5月25日、鹿児島市の鹿児島サンロイヤルホテル
公明党が自民党との連立政権離脱を決めた10日、鹿児島県内の両党支持者から「政治とカネの問題に終止符を打つきっかけにすべきだ」「新たな連立で新風を吹かせて」と歓迎の声が上がった。無党派層も公明の判断を理解しつつ、「次の首相は誰か」と不安定さを増す政局を注視する。
公明党員になって15年以上という姶良市平松の男性(81)は、自民について「政治とカネの問題は片付いていないのに、(派閥裏金事件に関係した議員を)党役員に入れてひどい」と率直に語る。7月の参院選で公明は裏金事件のあおりを受けたと感じると指摘し、「早く手を切ってと思っていた。離脱して良かった」と評価した。
「公明は裏金事件を問題視していたが選挙で自民と協力関係にあり、議席減に影響した。今後も追及していくべき問題だ」と公明党員で鹿屋市高須町の75歳パートも党の判断を歓迎する。「これまで自民への遠慮があったが、本来の政策を打ち出せるようになるのでは」とみる。一方で「選挙は厳しくなる。ゼロからの出直しと思って団結したい」と話した。
自民を支持するさつま町の自営業男性(35)は7月の参院選以降、「政治とカネの問題を巡り、公明が距離を置くようになったと感じていた。驚きはない」。自公連立で景気が上向いた実感はなく、高市早苗総裁に対し、「旧体制に縛られず、新たな連立の形を模索しながら国政を担ってほしい」と期待した。
支持する政党はないという鹿児島大学3年の20歳女性と21歳女性は、「自民が裏金問題にきちんと向き合っているとは思えない」とし、公明の決断に理解を示す。衆参ともに与党が過半数を割る中、女性初の首相が誕生するか不透明になった。「高市さんが首相になるのに期待していたが、どうなるかが一番気になる」と語った。