原口アヤ子さんに第5次再審請求を申し立てる方針を報告し、励ます鴨志田祐美弁護士(右)=11日、鹿児島県内(代表撮影)
鹿児島県大崎町で1979年に男性の変死体が見つかった「大崎事件」を巡り、殺人などの罪で服役し裁判のやり直し(再審)を求める原口アヤ子さん(98)の弁護団が11日、県内施設に入所中の原口さんを訪ね、第5次再審請求を申し立てると報告した。弁護団は18日にも会見を開き、請求する日程や弁護団の陣容、今後の方針を発表する。事件は15日で発生から46年を迎える。
弁護団の鴨志田祐美弁護士(63)は原口さんに「第5次請求始めます。頑張りましょうね」と激励。原口さんは呼びかけに対し小刻みに顔を動かしながら、時折笑顔も見せた。
弁護団は面会後、支援者らと事件現場を調査。被害男性は牛小屋の堆肥の中から遺体で見つかる前、自転車ごと側溝に落ちたとされており、自転車に乗せた人形が深さ約80センチの側溝に転落する様子を再現した。永仮正弘弁護士(82)は、姿勢や速度によっては衝撃で首を損傷し死亡する可能性は十分あるとして、「絞殺ではなく事故死であることは明らかだ」と述べた。
第4次請求で弁護団は、救命救急医の鑑定などを新証拠として、転落事故と不適切な救助行為で男性が死亡したと主張していた。
原口さん側はこれまで、再審開始決定が過去3回出たが、いずれも検察官抗告によって上級審で取り消された。第4次請求は最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)が25年2月25日付で退けたが、審理した5人の裁判官のうち、学者出身の宇賀克也裁判官(当時)は再審開始を支持するとの反対意見を付けた。
鴨志田弁護士は「第5次に向け、宇賀氏の意見をさまざまな観点から補強し、新証拠を検討している。意見を希望の光として、必ず再審開始を勝ち取る」と力を込めた。