新人教育がないまま、コロナ初期の緊迫した医療現場へ――20代新人看護師の自殺で遺族が病院提訴 パワハラや過重労働を訴え

2025/10/15 06:30
遺族のコメントを代読する代理人弁護士=14日、鹿児島県庁
遺族のコメントを代読する代理人弁護士=14日、鹿児島県庁
 2020年に鹿児島県曽於市の昭南病院に勤務していた新人看護師の20代男性が自殺したのは、パワハラや新型コロナウイルス下の過重労働が原因だったとして、男性の両親は14日、病院を運営する医療法人愛誠会に約1億円の損害賠償を求め、鹿児島地裁に提訴した。

 訴状などによると、男性は20年4月、病棟看護師として勤務を始めたが、5月初めに適応障害を発症し、同11日に自殺した。原告側は、新人教育がないままコロナ下初期の緊張を伴った業務環境や、先輩看護師からの「患者を殺す気?」といった発言が自殺につながったと主張している。

 問題を巡り原告は23年、遺族補償を不支給とした鹿屋労働基準監督署の処分取り消しを求め、地裁に提訴し係争中。原告の代理人弁護士によると、損害賠償請求の時効が迫る中、病院が示談に応じなかったため今回の提訴に踏み切った。

 代理人は提訴後、鹿児島市で会見を開き「病院には責任を認め、体質を改善することを求める」との遺族のコメントを読み上げた。

 病院側は「内容が確認できていないためコメントは差し控える」としている。

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