実りの秋に、苦難の稲刈り――記録的大雨被害の姶良市 田に流れ込んだ大量の土砂、取水施設は被災 農機故障や収量減招く

2025/10/15 07:00
故障したコンバインを確かめる大園裕次さん。左には流入した土砂の跡が残る=13日、姶良市加治木町辺川
故障したコンバインを確かめる大園裕次さん。左には流入した土砂の跡が残る=13日、姶良市加治木町辺川
 稲刈りがピークを迎える中、8月の記録的大雨で甚大な被害を受けた姶良市の田んぼが苦難の収穫の秋となっている。流れ込んだ木やごみで農機が故障したり、取水施設からの水の供給が不足し収量が減ったりと影響は広がり、対策を求める声も上がる。

 同市加治木町辺川の兼業農家、大園裕次さん(65)は10日から13日にかけて60アールの田んぼで親族3人とともに稲刈りをした。近くの宇曽ノ木川があふれ岩元橋は流失。大量の土砂や木、ごみが流れ込んだ。田んぼを囲む電気柵も流され、復旧するまでイノシシ被害に遭った。土砂で埋まった水路を確保するなどして、ようやく収穫にこぎ着けた。

 流れてきた竹の根が残る箇所は手刈りし、その他にも異物がないか確認しながら慎重にコンバインを入れていった。しかし13日夕、川に近く土砂が生々しく残る最後に入った区画でコンバインが枝を巻き込んで故障し、無念の中止となった。大園さんは「順調にいっていたので残念。修理に出すしかない。雨が来る前に収穫したいのだが」と唇をかんだ。

 同市三拾町で農業生産法人を営む山下妙子さん(56)は有機栽培する60アールで収穫を終えたが、収量は通常の半分程度にとどまった。山田川にある農業用取水施設が崩壊した影響で、出穂期に十分な水の供給を受けられなかったという。「穂自体が少なく、穂の中に実が入ってないものも多くてショックだった」と声を落とす。

 取水施設では、仮設ポンプで水を供給しているが、崩壊前の水量より少なく、施設の復旧工事は数年かかるとみられる。「来年の田植えまでに供給量を確保するよう行政には対策を取ってほしい」と訴えた。

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