5899出走前、馬場をたどる神馬と射手=19日、肝付町の四十九所神社
約900年の歴史がある高山流鏑馬(やぶさめ)が19日、鹿児島県肝付町の四十九所神社に奉納された。高山中学校2年の近藤颯海真(そうし)さんが、新しい神馬「白流(はくりゅう)」号に乗って射手を務めた。9本中、的中は1本。的の中心の竹に当たる「こもり矢」だった。
五穀豊穣(ほうじょう)を祈る神事で、県指定の無形民俗文化財。近藤さんは紫色の狩衣(かりぎぬ)に色鮮やかなあやい笠(がさ)といういでたちで、約330メートルを馬と共に駆け抜けた。
兄の祐生璃(ゆうり)さん(23)も2016年に射手を務めており、この時できなかった1本目をこもり矢にすることを颯海真さんは目標にしていた。見事中心を射抜き、有言実行した。
白流号は尻がはねるなど落ち着かない様子を見せた。近藤さんは落ちそうになったが、バランスを取って最後までやり遂げた。
沿道の観客からは大きな声援が飛んだ。鹿屋市笠之原町の会社員、池田翔吾さん(39)は「一生懸命頑張っていることが伝わって迫力があった」と話した。
近藤さんは「くやしい気持ちもあるけど、目標を達成できたのは良かった」と振り返った。祐生璃さんは「自分の夢をかなえてかっこよかった」と弟をたたえた。