鹿児島県立図書館には、なぜカバンを持ち込めない? 禁止事項減らすのが全国の流れなのに…「通行の妨げ」「本の持ち去り防止」が理由ですが、さて?

2025/10/21 21:00
鹿児島県立図書館=鹿児島市城山町
鹿児島県立図書館=鹿児島市城山町
 鹿児島県立図書館(鹿児島市)の利用者から「閲覧室に自分のカバンを持ち込めないので不便」といった声が、南日本新聞に複数寄せられた。全国的には禁止事項を減らす傾向にあり、自由な雰囲気の図書館が増えている。県側に尋ねると「快適に利用してもらうため」とのこと。どういうことなのか。

 県立図書館では原則、閲覧室には筆記用具や貴重品以外を持ち込めないようになっている。持参したカバンなどは入り口近くにあるロッカーに預け、希望者には透明のビニールバッグが貸し出される。ロッカーは無料だが、使用するには100円玉を入れなければならない。

 県立図書館奉仕課によると、カバンなど手荷物の持ち込みを禁止するのは複数の理由がある。主に(1)書架の間は狭い通路が多く、通行の妨げになる(2)限られた椅子やテーブルに手荷物を置かれると、座れない人が生じる(3)階段昇降時の安全性を考慮-だという。

 「持ち去りを防止する一助にもなっている」と担当者。多くの本は書庫に保管されており、手に取る場合は2階の受付で手続きが必要だ。さらに、借りる場合は別途1階で手続きが必要となる。貸し出し手続きをせずに持ち出そうとした場合、透明バッグであれば職員が気付きやすいという。

 日本図書館協会によると、都道府県立では少なくとも鹿児島、福岡、熊本、徳島、栃木の各県図書館が、カバンなどの持ち込みを禁止する。曽木聡子専務理事は「かつてはもっと多くの図書館でも、入館時の禁止事項として貴重品以外の持ち込み禁止があった。最近は、住民が利用しやすくするため禁止事項を少なくしていく傾向がある」と分析する。

 鹿児島市立図書館はカバンの持ち込み制限はなく、ペットボトルや水筒であれば館内で飲むこともできる。県立図書館奉仕課の中薗英和課長は「他の図書館の状況も見ながら、対応を検討していく」と語った。

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