自営業から災害支援の専門家へ――全国を飛び回る異色の50代夫婦。2019年の台風15号が2人の人生を変えた

2025/10/23 11:30
川村勇太、美保子さん夫妻
川村勇太、美保子さん夫妻
■かお・夫婦で姶良市の大雨被災者を支援する川村勇太(かわむら・ゆうた)さん、美保子(みほこ)さん

 公益社団法人ピースボート災害支援センター(東京)のスタッフとして、8月の記録的大雨で甚大な被害が出た鹿児島県姶良市に11月末まで常駐し、床下の泥出しや消毒、仮の床張りを行う。「被災者は3カ月後くらいに精神的にどーんと落ちる。頑張ってきた疲れが出るこれからの支援が重要」と声をそろえる。

 2019年9月の台風15号で被災して夫婦の人生が変わった。猛烈な風が襲い、千葉県館山市の自宅の屋根の一部がはがれた。ただ、それ以上に「あちこちの家の屋根が飛んでなくなっていた」。連日ボランティアに参加するうち、ピースボートから声がかかり、自営の中古家電販売をやめて2人で転職した。

 屋根職人に教わったり、安全確保のためのロープワークを学んだりして、23年までに「千葉の500軒近くの屋根にブルーシートを張った」。全国の被災地に派遣されるうち、小型重機の操作資格を取るなど、さまざまな技術を身に付けていった。

 昨年2月は能登半島地震の被災地で仮設の入浴施設を設置。千葉の家には年に約1カ月しか戻らないが、「各地でいろんな人と出会って支援させてもらえるのは、われわれへのギフトと思っている」。姶良では床下作業が多くて「体ががちがちになる」が、休みに霧島や指宿の温泉に入って癒やされている。

 東京造形大彫刻コースの同期生で、ともに50歳。2人はタヒチアンダンサーとしてフジロックフェスティバル、BEGINライブに出演経験があり、今も週5日ジムに通う。

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