「20回のうち19回は空席が分からず座れない」…40歳で視力を失った。「諦める」のに1年かかった。常にお礼カードを持ち歩く男性が伝えたい「助け合える価値」

2025/10/27 15:03
視覚障害への正しい理解を講演で訴える松永信也さん=薩摩川内市のセントピア
視覚障害への正しい理解を講演で訴える松永信也さん=薩摩川内市のセントピア
 鹿児島県阿久根市出身で全盲の松永信也さん(68)=滋賀県=が、鹿児島県薩摩川内市のセントピアで「あきらめる勇気」と題して講演した。約100人を前に体験談を語り、視覚障害者への正しい理解を求めた。

 松永さんは網膜色素変性症を患い、40歳ごろ失明した。講演では、バスに乗ると空席が分からないため20回のうち19回は座れないことを紹介。席を譲ってもらうのが「本当にうれしい」として、お礼を書いたカードを常に用意して渡していると話した。

 失明から約1年後に社会復帰に向けた訓練を開始したという。「一歩を踏み出すまでの時間に個人差はあるが、人間には苦しみながら少しずつ諦めていく力があるのでは」と強調した。助け合えるのが人間の価値だとして「正しく理解し、共通認識を持っていければいい」と述べた。

 講演会は川内なでしこライオンズクラブの結成20周年記念事業として8日に開かれた。

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