鹿児島県信用保証協会(鹿児島市)が企業の借入金を肩代わりする「代位弁済」の金額が大幅に増えている。2025年度上半期(4~9月)は全国が前年同期比98.3%だったのに対し、県内は156.9%。個人消費者向けの業種割合が全国に比べて高く、同協会は「人件費や原材料の高騰に価格転嫁が追いついていないのでは」と分析する。
同協会が上半期に代位弁済した額は29億4900万円。前年度1年分(42億5100万円)の約7割に上り、リーマン・ショックの影響で過去最多だった08年度の49億6000万円を上回るペースで推移する。伸び率は九州で最も高かった。
同協会によると、県内は個人消費者が取引対象となる「小売業」や「飲食店・宿泊業」の割合が高く、本年度も同様の傾向が推測される。24年度は小売業19.7%(全国12.3%)、飲食店・宿泊業15.8%(同9.2%)。トップの建設業に2業種が続いた。全国は建設業、卸売業、製造業の順だった。
企業間の取引では国や経済団体の後押しがあり、価格転嫁への理解が進みつつある。一方で、個人消費者向けは度重なる値上げで需要が低下する懸念から、踏み切れない状況にあると同協会はみている。
前田洋一専務理事(61)は、長引く原材料高や11月からの最低賃金引き上げで、経費はさらに上昇するとして、「一般消費者向けの取引形態が多い鹿児島では、デジタル化での生産性向上や、適切な価格転嫁の推進が一層求められる。関係機関と連携を強化し、経営支援に努める」と話した。