〈資料写真〉JR日南線の志布志駅に到着する列車=志布志市志布志
利用者低迷による赤字が続くJR日南線の油津(宮崎県日南市)-志布志(鹿児島県志布志市、計42.9キロ)間について、JR九州と鹿児島、宮崎両県、沿線3市(志布志、日南、串間)は28日、将来の在り方を検討する任意の協議会を設置した。31日に宮崎市で初会合を開く。存廃は前提とせず、活動の期限は定めない。
JR九州は昨年11月、同区間の議論を2県と3市に打診。宮崎県によると、今年1月から10月まで、事務レベルで計6回の会合を開き、各自治体の交通政策や協議の進め方について情報交換してきた。設置する会議には有識者を加え、国がオブザーバーで参加する。
初会合では、同区間の現状や沿線の取り組みを議題にする。宮崎県総合交通課の松田隆課長は「市民にとって望ましい移動手段を確保するための議論を深めたい」。鹿児島県交通政策課の榎本光純参事は「結論ありきではなく、前向きに話し合いたい」と述べた。
国は地方鉄道の存廃議論の目安として、1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)千人未満を示している。23年度の油津-志布志間は179人と、JRが発足した1987年度から7割以上減少。23年度は4億1800万円の赤字だった。
JR九州管内では、指宿枕崎線の指宿-枕崎でも同様の経緯で昨年8月に任意協議会が発足している。同社は「現在、2区間以外での協議の予定はない」とする一方で、「大量輸送の特性が生かせていない区間は、沿線自治体の考えを聞いて将来の議論をしたい」とした。