シラス由来の火山ガラス微粉末(VGP)を含む低炭素型コンクリートを使って整備する休憩所や駐車場などのイメージ図(太平洋セメント提供)
セメント業界最大手の太平洋セメント(東京)と鹿児島県は29日、シラス由来の火山ガラス微粉末(VGP)を使った低炭素型のコンクリートを屋久島町での民間工事に採用すると発表した。スーパー敷地内への休憩所や駐車場の整備で活用する。県によると、VGPを建物に使ったり、民間工事で導入したりするのは全国で初めて。県は普及が進むことを期待する。
VGPはシラスから選別した火山ガラス質と軽石質を粉砕して製造。県工業技術センター(霧島市)などが開発した。セメントの一部をVGPに置き換えることで、コンクリート製造時に発生する二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果があり、鉄筋の腐食防止や耐久性向上にもつながるとされる。
太平洋セメントによると、グループ会社である屋久島電工(屋久島町)の子会社が運営するスーパー「ライフセンターヤクデン」の敷地内に、低炭素型のコンクリートで屋根とベンチ付きの休憩所や駐車場のタイヤ止めブロックを整備する。利用開始は12月上旬を見込み、無料で使える電気自動車の急速充電器も設置する。
工事では約1トンのVGPを用いる。タイヤ止めブロックで49%、休憩所の屋根や柱で27%のCO2排出量を削減できるという。費用は同社が負担する。
カーボンニュートラルの実現を目指す太平洋セメントは中期経営計画で、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す町への協力を打ち出している。グループ戦略推進部の中谷内茂樹部長は「今回の事業がCO2削減を目指す取り組みの第一歩になれば」と話した。
県は需要創出が課題とし、24年度に低炭素型コンクリートを初めて公共工事に試験導入していた。