意気込みを語る中村誠希さん
■かお・熊本県職員時代から利用促進に携わる肥薩おれんじ鉄道社長の中村誠希(なかむら・せいき)さん
鹿児島県薩摩川内市から熊本県八代市までを結ぶ第三セクター・肥薩おれんじ鉄道。路線延長は116.9キロに及ぶ。「海や山、住宅街、農村風景、トンネルの中と景色の変化に富むのが魅力」。薩摩川内市の薩摩高城駅周辺から望む東シナ海に沈む夕日を「沿線の中で一番きれい」と絶賛する。
長崎県佐世保市出身。熊本大法学部を卒業し、熊本県庁に入庁した。2009年度から4年間、観光列車「おれんじ食堂」やおれんじ鉄道の利用促進に携わった。県央広域本部長などを務め、今年3月に退職。6月に同社の社長に就いた。「県職員として関わり、『おれんじ』には思い入れがあった。機会をもらったので頑張りたい」と意気込みを語る。
列車の乗客の7割を通学が占める。慢性的な運転士不足や利用低迷、老朽化した設備の維持管理、自然災害への対応など課題はさまざま。費用がかさむが「安全は必ず守らなければ」と力を込める。
モットーは「何があっても慌てず、物事は偏らず柔軟に考える」。鉄道と地域資源を組み合わせて売り出し、地域ににぎわいを生み出す取り組みを目指す。「沿線住民の大切な足であり、絶対に残さないといけない。地域を元気にする鉄道にしたい」
鹿児島は「熊本と同じように質実剛健という印象」。コーヒーが趣味というほど好きで、毎朝、妻・史子さん(58)の分まで入れる。妻と保護猫の「ひめ」と熊本市東区西原に暮らす。61歳。