 
                〈資料写真〉谷山地域を走る「あいばす」=鹿児島市東谷山2丁目
                
             
                 鹿児島市は30日、コミュニティーバス「あいばす」について、喜入、吉田、小原の3地域でマイクロバスから乗り合いタクシーへ全面的に切り替える方針を示した。他の8地域でもバスの時間帯や運行ルートを見直し、タクシーで補う。2026年度から順次始め、全地域で導入した時点で運賃を70~80円(子どもは40円)引き上げる予定。同日の市議会総務環境委員会で報告した。
 あいばすは、公共交通を補う地域バスとして2008年に始まり、現在11地域で、市交通局や民間業者がマイクロバス(定員22人)と大型ワゴン車(定員9人)を運行する。市交通政策課によると、23年度の利用調査などを基に、3地域は少人数のタクシー輸送が効率的と判断した。
 バスとタクシーを併用するのは吉野、谷山、伊敷東部と西部、谷山北部と南部、松元、郡山の各地域。1年で3、4地域ずつ切り替えるという。利用の少ない時間帯やバス停を縮小し、運行ルートは短くなるものの、1日当たりの便数はおおむね維持できるとしている。祝日は運休する。
 改訂後の運賃は大人230円(現行150円、小原地域は160円)、小学生以下120円(同80円)、敬老パス70円(同50円)。タクシーは事前予約が必要で、追加料金が発生する場合もある。
 今年3月末で鹿児島交通(鹿児島市)が運転手不足を理由にあいばすから撤退。現在はタクシー事業者が6地域、南国交通(同市)が4地域、市交通局が1地域を担う。市交通政策課の塘正平課長は「運転手不足で路線維持が難しくなっている。持続可能な運行体制を地域の方の協力を得て整備したい」とした。
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 鹿児島市は30日の市議会市民文教委員会で、桜島横山町にある2カ所の市有駐車場を有料化すると報告した。月決め駐車場とコインパーキングとして整備し、それぞれ来年6月と8月の運用開始を予定している。
 市は本年度、市有財産の有効利用を目指し、桜島港周辺にある市有駐車場3カ所の活用策を検討してきた。旧国民宿舎跡地(約1600平方メートル、約50台)は月決めで月額3000円。国民宿舎レインボー桜島前(約6700平方メートル、約300台)はコインパーキングで、入庫後24時間100円とする方針。さくらじま旬彩館横(約1500平方メートル、約50台)は2カ所の利用状況を踏まえ、検討を続ける。
 桜島支所によると、同港周辺にある民間の月決め駐車場2カ所は満車状態で、現在閉鎖している旧国民宿舎跡の一般開放を求める要望が住民から出ていた。レインボー桜島前は、5月の調査で1日あたり約290台が利用したという。
 11月に利用者向けの説明会を予定する。竹ノ下武宏支所長は「市の新たな財源確保につながるが、現在の利用者にとっては負担になる。丁寧に説明したい」と話す。有料化により、レインボー桜島前は約800万円、旧国民宿舎跡は約100万円の年間収入を見込む。
 委員会ではこのほか、文化・スポーツ活動の全国大会出場奨励金創設に関する陳情1件を、財源や活動範囲の線引きが難しいことなどから不採択とした。