屋根の一部が崩れ落ち痛々しい西郷隆盛蘇生の家=6日、鹿児島市吉野町花倉
鹿児島市吉野町の「西郷隆盛蘇生の家」のかやぶき屋根が一部崩れ落ち、「見るに忍びない」との声が南日本新聞に寄せられた。市は9月下旬に破損を確認したが、修理できる業者が限られ、着手できなかった。今月中には工事に入り、年内にも完了する予定。西郷生誕200年・没後150年の2027年度を控え、ゆかりの「聖地」の復活が待たれる。
現地を訪れると、北東側の屋根の4分の1程度が崩れている。国道10号から望む姿は痛々しい。市観光振興課によると、9月27日に市民から連絡を受け、職員が現地を確認。屋根側面の一部で、かやが支えの竹と共に崩れ落ちていた。かやぶき工事の経験がある業者に修理を依頼したが、工法の検討や作業員の人繰り、かやの確保などに時間がかかったという。
崩れ落ちた原因は、老朽化とみられる。2011年10月~12年3月にふき替え工事をし、22年に台風で頂上付近が壊れた際など、破損するたびに対応してきた。部分的修理を繰り返すとはいえ、最後の全体のふき替えから13年半たち、他にも波打った箇所があり、経年劣化がうかがえる。
蘇生の家は、西郷が1858(安政5)年の安政の大獄で京都を追われた清水寺の僧月照と鹿児島湾に身を投じ、助け上げられて息を吹き返した場所。1969年3月に復元された。観光スポットとして、市が所有し管理している。
西郷ファンには「ここで死んでいたら、日本の歴史は大きく変わっていた」と言われる場所。節目の年を控え、駐車場の設置など周辺の整備を求める声もある。