鹿児島県が保管する旧陸軍の軍歴資料=6日、県庁
戦後80年の節目に、旧軍人・軍属に関する軍歴資料の問い合わせが増えている。陸軍分を保管する鹿児島県によると、本年度の交付件数は例年の2倍近いペース。社会福祉課は「最近の傾向として、祖父たちが所属した部隊や戦没地に興味を持つ孫世代が目に付く」としている。
同課によると、2025年度の交付件数は7月末時点で62件。24年度までの直近5年は、年90~105件だった。戦後70年だった15年度は172件、16年度は209件と、節目の年に増える傾向がある。
海軍・陸軍の一部の資料を保管する厚生労働省では、24年度の交付件数が前年度から約1.8倍の3036件だった。担当者によると、25年度はさらに1、2割ほど多くなっているという。
県は、終戦時に県内に本籍があった陸軍の軍人・軍属の軍歴資料を保管している。死亡者原簿、兵籍、戦時名簿、本籍地名簿、身上申告書があり、軍から移管された。これらの資料を見ることで、どの戦地を転戦し、どこで負傷したり亡くなったりしたかを知ることができる。
資料の閲覧と写しの交付を請求できるのは、本人か、本人が死亡した場合は6親等内の血族・配偶者、3親等内の姻族などに限られる。(1)旧軍人・軍属の氏名(2)生年月日(3)終戦時の本籍地-を確認の上、県社会福祉課に調査を申し込む。
戦災などにより消失して資料がないケースもあるという。あると確認できた場合、戸籍謄本原本などの必要書類を提出すれば交付を受けられる。同課は「せっかく残された資料なので、近しい人の戦争体験の一端に触れる方法として活用してほしい」と呼びかける。