TENBLANKが現実のステージに現れた――4人が示した存在証明、1日限りのステージで8曲を熱演
Netflixで配信中のドラマ『グラスハート』の劇中バンドTENBLANKが、10月11日に横浜・ぴあアリーナMMにて、メンバー4人(佐藤健・宮崎優(※崎=たつさき)・町田啓太・志尊淳)揃っての一日限りのイベント『TENBLANK from “Glass Heart” FAN MEETING feat. Takeru Satoh, Yu Miyazaki, Keita Machida, Jun Shison』を開催した。
【ライブ写真多数】TENBLANK、1日限りの白熱のライブの模様!ソロショットやゲーム中のショットも
TENBLANKは、佐藤健演じる孤高の天才音楽家・藤谷直季、宮崎優演じる大学生ドラマー・西条朱音、町田啓太演じる努力家のカリスマギタリスト・高岡尚、志尊淳演じる超音楽マニアの孤独なピアニスト・坂本一至による4人組ロックバンド。映像の世界を越えてリアルなステージに立つその姿を一目見ようと、公演のチケットには延べ20万枚を超える応募が殺到。この日は、幸運をつかんだ昼夜あわせて1万8000人のファンが、ドラマの撮影場所としても使われた会場に集結した。ここでは、そのうち昼公演の様子をレポートしたい。
■4人が繰り広げる白熱の演奏 “朱音ちゃん”のドラムソロも炸裂
開演から20分ほど経過した頃、TENBLANKのデビューアルバム『GLASS HEART』収録曲「PLAY OUT LOUD」のSEに合わせて手拍子が起き、会場が暗転。赤い照明とレーザーが走るなか、シルエットで登場した町田が、同ドラマファンにはおなじみのギターリフを掻き鳴らす。続いて宮崎のアグレッシブなドラム、志尊の華麗なピアノが加わり、最後に佐藤がベース&ボーカルとして登場した。
1曲目に披露されたのは「MATRIX」。劇中そのままの勢いで再現され、佐藤はスラッププレイも交えて高らかに歌い上げ、客席の熱気は早くも最高潮に。佐藤は「横浜ー!」と叫ぶと、2曲目はハンドマイクに切り替え「旋律と結晶」へ。4人は顔を見合わせながら笑顔を交わし、佐藤はパワフルなステージングを見せながら「歌ってくれ!」とあおる。白熱のパフォーマンスの中、「約束のうた」では、宮崎のドラムソロを囲むように3人が集まり、疾走感あふれる演奏を展開。志尊はこの曲でベースを担当し、怒涛の3曲が駆け抜けた。
■アーチェリー対決でほっこり 千鳥・ノブやOVER CHROMEのあの人も…
佐藤の「やあやあ!TENBLANKです!」というあいさつから、和やかなクロストークへ。宮崎の進行で始まった最初のコーナーは『TENBLANK最強アーチェリー王決定戦』。このゲームは、佐藤が『オールスター感謝祭』でのアーチェリー対決を観て思いついたもので、過去に同番組で驚異的な記録を出した町田の実力をファンに見せたいという思いから実施された。
勝者以外には罰ゲームが課され、町田にはハンデ(“ど真ん中以外は負け”というもの)もあり宮崎が勝利。敗れた3人は、劇中のバックハグシーンやキスシーンの再現に挑戦し、会場を沸かせた。本当に仲が良さそうな4人の姿にほっこりの連続だった。
そして雰囲気は一転、“TENBLANKモード”に。佐藤は「久しぶりに笑ったよ。喉がやばい」と笑いつつ、「楽しい時間はあっという間」と語り、4曲目「シトラス」へ。町田のギターソロ、志尊のピアノが映えるナンバーを披露し、ステージは再び暗転。
ここで、会場モニターに劇中の音楽番組『ミュージックステイツ』の映像が流れ、MC役として“タモリ風”の千鳥・ノブが登場。「会場のみなさん、盛り上がってますかー?」とスタジオから呼びかけると、ドラマと同様にドラムの西条朱音(宮崎)が行方不明になったと告げられる。中継は中断され、メンバー3人がそれぞれフロアに降りて捜索へ。ファンとコミュニケーションを取りながら進んだ捜索の末、宮崎は客席で、有栖川真宏(OVER CHROME)を演じたレイニに捕まっていたことが判明。
レイニは「遊びに来るはずだったのに、2日前に“出てくれ”って言われた」と話して笑いを誘い、「菅田将暉くんじゃなくてごめんなさい」と前置きしながら、劇中曲「Vibrate」をアカペラで歌い、会場を沸かせた。
■「TENBLANKは確かに存在した。それを証明したかった」佐藤健のピアノ弾き語り
捜索を終えたメンバーたちは、フロアでファンとコール&レスポンスを交わしながら「Chasing Blurry Lines」へ。メンバーがステージに戻り、町田のギターが響く中、佐藤が「歌ってくれ!」と観客をあおると、客席の腕が大きく揺れた。
本編ラストは、シリーズタイトルにもなっている表題曲「Glass Heart」。佐藤は「今日は僕たちTENBLANKが確かに存在したんだって証明を刻みに来ました。僕たちは今日のこと、今日までの日々を忘れません。出会ってくれてありがとう。もしまた会えたら、そのときはまた、一緒に歌おう」と語り、ピアノで同曲をパフォーマンス。町田と志尊(ベース)も体を大きく前後に揺らしながらグルーヴを生み出し、最後は宮崎の情熱的なドラムソロへ。長尺のソロが歓声に包まれて締めくくられると、会場が暗転し、TENBLANKのロゴが映し出されて再び大きな歓声が上がった。
アンコールでは、作品中の「高岡が藤谷を台車で運ぶ」シーンを再現するかたちで、佐藤が台車に乗って再登場。MCで宮崎は「みんなのすさまじいパワーに負けそうになったけど、頑張りました!」と、本編の演奏を振り返った。
佐藤は「寂しくなったら今日を思い出してほしい。そしてドラマもアルバムも何回も楽しんでほしい。曲を聴いてくれたら、いつもTENBLANKはそこにいる。音楽ってそういうものだから」と話し、「永遠前夜」をピアノで弾き語った。町田と志尊(ベース)、宮崎がやさしい演奏で支え、4人の音が呼応するようなバンド感あふれるアンサンブルが、観客の胸を打った。
演奏後、佐藤は「僕たちができる全力の準備をしました」と笑顔を見せ、宮崎も「こんなライブができて贅沢でした。感動しました。TENBLANKをいつまでも愛してください」と続けた。
「喋れない……」と全力を尽くした様子の志尊は、「俳優をやってきて、こんな舞台に立てるとは思いませんでした。たくさん練習もしてきました。これが最後なのかわかりませんが、本当に幸せでした」と語る。町田は「自分もアーティストを目指した時期がありましたが、今回はたくさんの人のおかげでこのステージに立てて、本当に幸せでした。今日を思い出にしてほしいです」と締めた。
そして最後は佐藤が「もち玉がもうないので、もう一回やらせてください!」と語り、前半でショートバージョンだった「約束のうた」をフルバージョンで再演。佐藤がメンバーにマイクを向けて全員で楽しそうに歌い、会場全体がひとつになったところで、ステージは幕を閉じた。
今回のファンミーティングでは、劇中さながらの4人の仲の良さと絆、そして音楽と真剣に向き合う姿勢が存分に伝わった。ステージに立つ4人はまさに、ドラマに登場する“伝説のロックバンド”TENBLANKそのもの。ラストのMCで佐藤は今後について「俺たち、どうなるんだろうね。一緒にいたい気持ちはあるから、引き続き探っていきたい」とも語っており、今後のTENBLANKの可能性も感じさせてくれた。
佐藤はTENBLANKを代表して、台北、ソウル、香港、バンコクのアジア4都市にて、初のファンミーティングを開催予定。自身にとっても初の海外公演となる。今回のステージで披露した弾き語りの再現にも期待が高まる。
■セットリスト(昼公演)
M01. MATRIX
M02. 旋律と結晶
M03. 約束のうた
M04. シトラス
M05. Chasing Blurry Line
M06. Glass Heart
<アンコール>
EN01. 永遠前夜
EN02. 約束のうた