映画『楓』(12月19日公開)でスピッツの「楓」をカバーする渋谷龍太(SUPER BEAVER)(C)2025 映画『楓』製作委員会
時代を超えて愛される国民的バンド・スピッツの名曲「楓(かえで)」を原案にした映画『楓』(12月19日公開)では、主題歌としてスピッツの「楓」がエンディングを飾るほか、行定勲監督の発案により、劇中のさまざまなシーンにも「楓」が登場。複数のアーティストによるカバーが物語を彩り、歌詞とメロディーがドラマの情感と共鳴する演出がなされている。
【動画】フィーチャレット映像 渋谷龍太ver.
10月にシンガーソングライター・十明(とあか)が劇中歌のカバーアーティスト第1弾として発表されたのに続き、第2弾としてロックバンド・SUPER BEAVERのボーカル、渋谷龍太の参加が明らかになった。公開されたフィーチャレット映像には、渋谷のレコーディング風景とインタビュー映像、行定監督や音楽を手がけたYaffleのコメントも収録されている。
スピッツの楽曲が映画化されるのは、デビュー34年目にして初めて。楽曲の「楓」は1998年にリリースされた8thアルバム『フェイクファー』の収録曲で、同年にアルバムからシングルカットされ、その後数多くのアーティストにカバーされながら、27年経った今も愛され続ける名曲だ。
映画『楓』は、『ソラニン』『東京リベンジャーズ』などで評価を集める高橋泉(※高=はしごだか)が脚本を担当。双子の弟・恵を失くして弟のフリをする涼(福士蒼汰)と、亡くなった恵の恋人で涼を恵だと思い込む亜子(福原遥)、二人の男女がたどる切ない恋を描く。
劇中歌として「楓」をカバーした渋谷は、「僕の中でスピッツはすごく特別な存在です」と語り、「常に自分の日常の中に“スピッツ”があったから、嬉しい気持ちとプレッシャーが半々。ガクガク震えながらオファーを受けさせていただきました」と率直な思いを明かす。
解禁となった映像では、行定監督と楽曲について意見を交わす姿が映し出され、サビの「さよなら きみの声を抱いて歩いていく」というフレーズが、物語の別れのシーンに重なる。行定監督は「伸びやかな渋谷龍太の声が『楓』と出会う。その化学反応が観るものを映画の世界に引き込むだろう」と語り、Yaffleも「力強くどこまでも届くような歌声の響きが、希望もしくは祈りのように響いています」と評価した。
本作を鑑賞した渋谷は「生きているからこそ抱ける感情は、生きていなければ抱かずに済んだ感情でもあり、だからこそ例え時間が掛かっても、その機微を愛おしめるように生きていくことがやはり大切だと、この作品から受け取ることができました」と、コメントを寄せている。
12月17日には、Yaffleによる劇伴に加え、十明や渋谷によるカバー楽曲、さらにすべての原点とも言えるスピッツの「楓」が収録されたオリジナル・サウンドトラックの発売が決定。失った大切な人への想いに寄り添い、音楽が作品世界をより豊かに響かせ、鑑賞の体験を深めてくれる一枚になりそうだ。