映画『国宝』オスカー獲得へ前進 英語字幕版を観た外国人客絶賛「別世界に連れていかれる」

2025/11/05 18:00
映画『国宝』(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会
映画『国宝』(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会
 吉田修一原作、李相日監督が手がけた映画『国宝』が、6月6日から11月3日までの151日間で累計観客動員数1195万人、 累計興行収入168億円を突破(興行通信社調べ)。邦画実写歴代1位『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』(173.5億円)に迫る空前の大ヒットとなっている。「第98回米国アカデミー賞」国際長編映画賞の日本代表作品にも選出され、国内外での評価とさらなる躍進が期待されている。

【画像】「第30回釜山国際映画祭」『国宝』チームの写真

 原作者が「100年に一本の壮大な芸道映画」と称した本作は、吉沢亮が歌舞伎の家に引き取られ、芸に人生を捧げる主人公・喜久雄を熱演。上方歌舞伎の名門の御曹司・俊介役を演じる横浜流星との共演、渡辺謙、田中泯らの存在感も重なり、“日本映画史に残る”との呼び声が高い。

 10月3日からスタートした英語字幕版上映では、外国人客の間でも熱狂が広がっている。TOHOシネマズ新宿で鑑賞した米国人女性は、オリコンニュースの取材にこう語った。

 「物語がとても美しく深い。歌舞伎という日本文化を知る貴重な機会になりました。衣装や音楽、美術のすべてが完璧で、まるで別世界に連れていかれるような体験でした。長尺なのに時間を忘れてしまうほど引き込まれ、アカデミー賞がこの映画の完成度をしっかり評価してくれることを願っています」

 また、米国人の父と日本人の母を持つ男性も「3時間があっという間。カメラワークや構図が素晴らしく、歌舞伎や女形の文化を知らない人にもわかりやすい字幕の説明が助けになった。ハリウッドでも“男が女を演じる芸の世界”は新鮮に映るはず」と語った。

 さらに海外メディア関係者も「日本のことをよく知らなくても“映画の時間の空気”が伝わる。3時間を感じさせない没入感がある。英語字幕版はせりふだけでなく、状況説明もあってとても助けになった。アメリカの観客にも届くと思う」と高く評価。『国宝』の魅力は、国内にとどまらず、海外の観客にも共感を呼ぶ可能性を感じさせた。

 李相日監督は、10月30日に都内で行われた「第38回東京国際映画祭」でのトークイベントで、アカデミー賞日本代表選出に関連した質問にこう答えた。

 「アカデミー賞など国際的な映画賞で評価される日本映画は、これまで文学性や作家性の強い作品が多かったと思います。ですが『国宝』は、作家性とエンターテインメントを融合させた大作です。これからアメリカでキャンペーンを行い、現地でどんな反応があるのか楽しみにしています。それが何かを見極めていきたいと思っています」

 “芸”に生きる人間を描いた『国宝』。日本文化の奥深さと人間の情熱が織り成すこの物語が、これから世界でどのように受け止められていくのか。今後の賞レースでの動向に注目だ。

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