事務長の重永応樹氏(左)と院長の田中帝臣氏
訪問診療と外来でそれぞれチームをつくり、一般診療だけでなく予防医療を提案・実践していることが特徴です。当院の予防医療では、歯の状態だけでなく粘膜や舌といった口腔全体、さらには体の状態にまで意識を向けたご提案を行なっています。
口は食べ物や飲み物を摂取するだけでなく、感染症などを引き起こす菌やウイルスの感染経路でもあります。高齢になるほど誤嚥性肺炎で亡くなるリスクが高まることから、日々の口腔ケアがとても重要となります。また継続的な口腔ケアは健康を守るだけでなくQOL(生活の質)向上にも欠かせない要素であると考えています。
当院は1977(昭和52)年の開業以来、薩摩川内市の中心で地域医療のあるべき姿を追求しながら歯科診療を行ってきましたが、15年ほど前、高齢者の摂食・嚥下機能や口腔ケアの重要性を唱える鹿児島大学の歯科医師と出会い、地域医療における訪問診療の潜在的ニーズを強く意識しはじめました。
当初は週に数日、治療主体の往診という形で活動していましたが、継続的な口腔ケアの重要性をより多くの方に広めるために、12年ほど前、「訪問診療」を専門部署として立ち上げました。現在は歯科医師2~3人と歯科衛生士4~5人、看護師2人の体制で訪問歯科チームを編成し、薩摩川内市を中心に居宅や介護施設・入院施設等を訪問しています。
外来の予防医療でも定期的なプロフェッショナル・ケアが重要です。歯周病や虫歯の状態、セルフケアの状況に合わせて、1~3カ月の間隔で通院していただいています。
当院では初診で来られた患者さんお一人お一人の状態に合わせて、治療から予防まで流れを『初診時カウンセリング』を通して提案しております。院内にはヒアリングや資料作成、無料カウンセリング等を専門に行う「オーラル・コンシェルジュ」が常駐しております。主訴や部分的な歯の情報だけでなく、口腔全体の状態から過去の治療歴、生活習慣や環境、健康に対する価値観や理想のゴールといった、患者固有の情報やニーズを引き出します。これらをもとに歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士によるチームカンファレンスを行い、患者さんの状態やニーズに合わせて治療方針を複数提示させていただきます。
このような丁寧な聴き取りや説明を心がけることで、当院では治療後に予防医療へ移行する患者さんの割合は約95%、定期検診のリピート率も直近では97%を超えるほどの水準となっております。
人生100年時代と言われる現代において、単に長生きであるだけでなく、最後まで健やかに生きることが理想です。
そのためにはいつまでも自分の口で食事が摂れること、なんでも美味しく食べられることが大切です。また口腔機能が健全で、かつ口腔環境が清潔であることは、さまざま病気の予防にもつながると考えております。今後は他科との地域医療連携を更に強化し、一人でも多くの方々に予防医療の重要性をお伝えしつつ、共に健康長寿を追求してまいりたいと考えています。
予防医療のニーズが高まる中、さらなる人材の確保は急務です。中でも資格を持っているのに別の仕事に就いている歯科衛生士の復職支援は重要であると考えています。当院のスタッフの9割は女性です。 家庭状況や子育てなど、ステージはそれぞれ異なりますが、事情に合わせて柔軟な働き方ができるように職場環境を整えています。 女性管理職のサポート体制も整え、女性が継続して働ける企業として薩摩川内市女性活躍推進事業の優良企業に認定されたこともあります。 医療によって社会貢献をしたい人、歯科医、歯科衛生士の資格が持つ可能性に挑戦したい人と一緒に働きたいと考えます。