「うつ状態」の熱帯魚を開発 鹿児島大水産学部・塩崎准教授ら

(2020/04/12 20:00)
ゲノム編集により「うつ状態」を示すようになったゼブラフィッシュ(塩崎一弘・鹿大准教授提供)
 魚も「うつ」になる?-。鹿児島大学水産学部の塩崎一弘准教授(45)=食品生命科学分野=らのグループは、ゲノム編集により、「うつ状態」を示す熱帯魚ゼブラフィッシュの開発に成功した。コミュニケーション能力の低下やストレス増加による不安や恐怖といった、人間と同様の精神的不調を見せた。うつ病の発症メカニズム解明や、薬の開発などへ応用が期待できるという。英科学誌サイエンティフィック・リポーツのオンライン版に3日掲載された。
 塩崎准教授によると、ゼブラフィッシュは、人間と同様に感情をつくる遺伝子を持つ。このうち不安を抑制するホルモン「神経ペプチドY(NPY)」の遺伝子を傷付けて機能しないようにしたところ、慢性的に弱いストレスを抱えることが分かった。
 ゼブラフィッシュは通常、鏡に姿を写すと、仲間と思い込んで近づくが、実験では接近回数が半分に減り、距離を取る行動を見せた。セ氏10度の水に2秒漬けるストレスを与えてから28度の常温水槽に戻す実験では、体がすくんで動けなくなり、端ばかり泳ぐといった不安行動を示した。過剰反応して死ぬ個体もあったという。
 「マウスと比べて飼育しやすく、短時間で多くのデータが得られるのが利点」と塩崎准教授。「実験を続け、薬や機能性食品の研究開発を行う。かんきつ類など、鹿児島県産の農水産物の成分でも効果を試したい」と話した。鹿大医歯学総合研究科漢方薬理学講座・乾明夫教授グループとの共同研究。