西郷どん愛、南洲墓地に元検事眠る 薩軍以外で唯一の墓 鹿児島市

(2020/07/01 23:00)
南洲墓地の片隅にある今泉利春の墓=鹿児島市上竜尾町
南洲墓地の片隅にある今泉利春の墓=鹿児島市上竜尾町
 西郷隆盛ら西南の役戦没者をまつる鹿児島市上竜尾町の南洲墓地に749基ある墓碑で唯一、薩軍とは縁のない人物がいる。明治期に鹿児島で検事を務めた今泉利春。西郷への傾倒ぶりから埋葬を許された前例のない措置とされる。没後125年以上たった今も墓群の片隅でひっそりと眠り、検察関係者が墓参に訪れる。

 今泉の妻みねの自叙伝「名ごりの夢」などによると、今泉は佐賀出身。司法省の元役人で、1873(明治6)年の征韓論政変を機に下野した西郷らに共鳴して辞職した。

 その後、同郷で外務卿などを歴任した副島種臣の勧めで検事に。94年1月、当時検事が配置されていた鹿児島地方裁判所に赴任。種子島の監獄を視察した際に赤痢にかかり、同年11月、死去した。

 西郷を崇拝してやまなかった今泉の思いをくんだみねが、城山陥落直前に軍使として官軍本営に赴いた薩軍生き残りの河野主一郎に嘆願。南洲墓地への埋葬を認めてもらったとされる。

 南洲神社によると、墓地は80~83年ごろにできており、10年以上たって今泉の墓が追加されたことになる。墓群の東南端にあり、高さ約130センチ。周囲と比べるとやや小ぶりで目立たない。

 鶴田伊都雄宮司(75)は「例外を一つ認めると、第二、第三の希望者が出る可能性もある。実現するまでかなりの調整が必要だったのでは」と推測する。

 西郷南洲顕彰館の徳永和喜館長(69)は「今泉とさまざまな人物との巡り合わせが、この墓地につながっているのが面白い。ぜひ鹿児島の人にも広く知ってもらいたい」と話した。