時計 2020/09/19 12:00

豪雨被災の肥薩おれんじ鉄道 収益の柱・貨物ストップ続く 「会社始まって以来の危機」  

大量の土砂で線路が覆われた佐敷トンネル付近=7月4日、熊本県芦北町(肥薩おれんじ鉄道提供)
大量の土砂で線路が覆われた佐敷トンネル付近=7月4日、熊本県芦北町(肥薩おれんじ鉄道提供)
 7月豪雨で被災した肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)の八代-佐敷駅間が不通になっている影響で、JR貨物(東京)の貨物列車が運行できない状況が続いている。おれんじ鉄道は営業収益の6割以上をJR貨物からの線路使用料収入で占めており、経営への打撃は避けられない。11月の運行再開を目指し、復旧作業を急いでいる。

 7月4日の豪雨では線路や電力、信号設備が被災した。佐敷トンネル(熊本県芦北町)付近では大規模な土砂崩れが発生、大量の土砂が出口をふさぎ線路を覆った。土砂の除去は順調で、今後は線路や電気設備関係の作業が進む予定。

 JR貨物は、おれんじ鉄道の線路を利用し貨物列車を1日3往復運行する。焼酎や野菜、紙類などを県外へ運び、荷物が増える時期は臨時便も出す。7月4日以降はおれんじ鉄道の線路が使えなくなり、鹿児島-熊本間の運行はストップ。7日からはトラックで代行輸送している。

 おれんじ鉄道の2019年度の線路使用料収入は10億5565万円で、営業収益の65%に及ぶ。線路や電線の維持にかかる費用を運行実績などに応じて算出するため、運休が続けば目減りする見込み。

 新型コロナウイルス感染拡大もあり、7月は輸送人員が前年同期に比べ4割減った。総務部の永井秀徳次長は「コロナで旅客運輸収入が落ち込んだ上、経営の大きな柱である貨物列車が途切れた。会社始まって以来の危機」と話す。

 鹿児島県と沿線3市、県市町村振興協会は19年度、経営安定化支援補助金として計2億8140万円を支出している。県は開発促進協議会を通じ、国に災害時のJR貨物運休に伴う減収補てんや貨物調整金の拡充を求めている。

 永井次長は「時間が正確で安定し大量に運べるのが貨物列車の強み。物流の大動脈を担うレールを一日も早く復旧させたい」と強調した。