時計 2020/11/03 17:00

高齢者、障害者ら「困った」…県立博物館2階トイレは和式のみ どうして?

鹿児島県立博物館の2階にある女性トイレ。二つとも同じほどの広さだ=鹿児島市城山町
鹿児島県立博物館の2階にある女性トイレ。二つとも同じほどの広さだ=鹿児島市城山町
 鹿児島市の県立博物館を利用した女性から「2階の女性トイレは和式しかなく困った」という投稿が寄せられた。1階には洋式や多機能トイレもあったが、高齢者連れで膝も悪く、移動に難儀したという。県内の公共施設には、和式しかないトイレも散見される。高齢者や障害者の外出を支援する団体の関係者らは「トイレのバリアフリー化はまだ不十分」と指摘、「3年後の鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会を見据え、改善を急いでほしい」と訴える。

 博物館職員の案内で現場を見た。トイレに通じる廊下は途中で幅が狭まり、余裕があるとはいえない。二つある個室は広くもなく、ドアの立て付けが悪く、ノブが緩んでいるのも気になった。

■費用見積もり
 博物館が入る3階建て(一部4階)の建物は1927(昭和2)年10月に完成。同館によると、2003~04年度の工事で、1階の男女トイレに洋式を導入し多機能トイレも設置した。鈴木敏之館長は「便座に触れたくないという理由で洋式を嫌がる人もいるとの意見があり、2階は男女ともあえて和式を残したようだ」と説明した。

 博物館にもトイレ改修の要望が届いており、2階の和式を洋式化するための費用を見積もりに出すなど検討しているという。3階はトイレそのものがないが、新設はスペースの問題で難しいという。

 県や鹿児島市によると、市内の公共施設では、黎明館や宝山ホール、市立科学館に和式しかない男性用トイレが1カ所あるが、いずれも同じ階の別のトイレに洋式がある。川商ホールも1カ所残っているが、本年度中に洋式を導入する予定だ。

■段差も障壁
 「町内会総会を開こうとすれば、全体の1~2割が和式トイレと階段を理由に欠席する印象」。鹿児島市易居町町内会の原田孝造会長(71)はこう打ち明ける。19年度、市の補助金を活用して自治公民館2階の男女共用トイレを洋式化した。「高齢者には洋式が必要。災害時は避難所にもなるので利便性を高めたかった」と話す。

 一方、理学療法士で市内の高齢者施設に勤める有村宣彦さん(47)は「洋式にすれば済むという問題でもない」と指摘する。例えば一般的な個室トイレでは、介助者が入る広さが足りないという。「内開きのドア、スリッパの履き替え、少しの段差などが高齢者や障害者にとっては大きな障壁となる」と語る。

■順番待ち
 多機能トイレの整備も十分とはいえない。有村さんによると、数が少ないため、順番待ちを強いられたという話をよく聞くという。順番待ちの人たちからせかされる場面もあるそうだ。

 「(多機能トイレの)普及により利用者が集中し、本来必要とする車いす使用者らが利用しづらく、また高齢者・障害者らが使えるトイレが少ない」。国土交通省は「バリアフリー設計ガイドライン」で現状をこう指摘する。その上で一般トイレの改修を促し、車いす用、人工肛門などを造設した人(オストメイト)用、乳幼児用といった機能の分散化が必要と提言する。

 高齢者や障害者の外出を支援する「介護旅行ナビ」(鹿児島市)代表の堤玲子さん(57)は「障害のある人を視野に使いやすく整備すれば、赤ちゃんや高齢者にも寄り添うトイレになる」と話す。「公共トイレの改善は観光振興にも関わる課題だ。国体・障スポの開催延期を好機と捉え、見直しを急ぐ必要がある」と強調した。