時計 2020/12/25 22:00

桜島観測60年 世界屈指の体制、爆発兆候9割探知 京大火山活動研究センター

世界トップクラスの研究を続ける京都大学防災研究所火山活動研究センター=鹿児島市桜島横山町
世界トップクラスの研究を続ける京都大学防災研究所火山活動研究センター=鹿児島市桜島横山町
 桜島で観測を続けている京都大学火山活動研究センター(鹿児島市桜島横山町)が26日、発足から60年を迎えた。世界で最も活発な活火山の一つである桜島の活動を解明するため、世界屈指の観測網を築いている。

 発足のきっかけになったのは1955(昭和30)年の桜島南岳山頂火口で起きた爆発。登山中の鹿児島大生1人が犠牲になった。南岳はその後も活発な火山活動が続き、住民の不安が高まった。5年後の60年、噴火の予知研究を目的に、京都大が桜島火山観測所を立ち上げ、2年後に火口から北西約2.7キロのハルタ山に拠点となる観測室が完成した。

 初期は鹿児島市街地側の冷水町と桜島港近くの防空壕(ごう)跡に傾斜計と伸縮計を置き、地盤変動を捉えようとしたが、シラスの地盤は軟らかく、観測に適さなかった。

 研究の成果が飛躍的に上がったのが85年。防空壕の代わりとなる観測専用の坑道(全長250メートル)がハルタ山に完成。ごくわずかな地盤変動や火山性地震も探知できるようになった。

 現在の観測点は、霧島地域や指宿・開聞地域、薩摩硫黄島(三島村)、口永良部島(屋久島町)、諏訪之瀬島(十島村)など県内84カ所に広がった。

 観測坑道も桜島内3カ所(1カ所は国土交通省設置)に増え、小規模であっても爆発の兆候の9割を事前に捉えられるようになった。観測データは自治体、気象台と共有され、自治体に避難を助言することもある。

 噴火予知に限らず、気象レーダーなどを応用して、降灰量を即座に把握し予測する技術など減災につながる研究にも力を入れてきた。93年から世界有数の火山国であるインドネシアと共同研究にも取り組む。

 18年には「火山テクトニクス研究領域」を設け、5万年以内に巨大噴火が起きた姶良や鬼界などのカルデラ噴火の発生メカニズムと予知の可否を明らかにしようとしている。

 現在8人体制で研究。センター長の井口正人教授は「これまでは噴火発生そのものに研究の重点を置いていたが、災害予測や誰も経験のしたことのない巨大噴火の解明にも取り組みたい」と話す。