時計 2021/02/27 20:00

小4少女、夢の牛農家へ一歩 病気でふさいだ心癒やされ「一緒にいたい」 家族も応援、自宅に牛舎 鹿屋・高隈の福崎帆乃香さん

生後1カ月の子牛と触れ合う福崎帆乃香さん=鹿屋市上高隈町
生後1カ月の子牛と触れ合う福崎帆乃香さん=鹿屋市上高隈町
 牛好きが高じて自宅で飼い始めた少女が鹿屋市上高隈町にいる。高隈小学校4年の福崎帆乃香さんだ。農業経験のなかった両親も帆乃香さんの本気度を認め、自宅の敷地内に牛舎を建てて支援している。

 帆乃香さんは難病に指定されている紫斑病性腎炎を3歳で発症、入退院を繰り返してきた。保育園年長の頃には顔が腫れるなどの症状も出て、引っ込み思案になりがちだった。

 だが、気晴らしに家族で行った同市の輝北うわば公園で転機が訪れた。放牧されている乳牛にくぎ付けになったのだ。「牛に会いたい」と両親にせがんで週2、3回通ううちに少しずつ表情が明るく、活発になった。「どうしても欲しい」。家でも牛と一緒にいたいとの思いが強まっていった。

 父親の操さん(61)は会社員、母親の加代子さん(50)は保育士。3人きょうだいの末っ子の申し出を当初は「まさか」と思っていたが、2年以上続く真剣な訴えに心が動いた。知人やJAに相談して繁殖経営の助言を受け、約210平方メートルの木造牛舎を設置。帆乃香さんが3年生の2019年11月、母牛「ほりこ」を肝属中央家畜市場で購入した。

 毎朝5時に起き、登校前に餌やりとブラッシング。授業が終わるとすぐに帰宅して牛舎に直行する。加代子さんは仕事を辞め、日中の世話をした。

 昨年5月、ほりこが雄牛「福一」を出産。その後、新たに迎え入れた母牛2頭が子牛を3頭産み、計7頭を「弟と妹みたい」とかわいがった。

 福一は体重260キロに育ち、今月15日に同家畜市場の子牛競り市に出した。81万3000円の値がついて引き取られていった。帆乃香さんは別れがつらくて涙が止まらなかった。

 「将来は絶対に牛飼いになる」と話す帆乃香さん。競りから3日後の18日夕、牛に与える牧草を抱えて牛舎内を動き回っていた。「将来は100頭飼います」とはにかんだ。