時計 2021/04/16 07:00

交通事故で絶たれた五輪出場の夢 絶望の淵から救ってくれた家族、恩師、仲間へ 車いすの元スイマー、聖火つなぐ 志布志・立山さん

仕事中の立山颯大さん。「聖火リレーで地元を盛り上げたい」と本番を心待ちにする=志布志市有明の市地域包括支援センター
仕事中の立山颯大さん。「聖火リレーで地元を盛り上げたい」と本番を心待ちにする=志布志市有明の市地域包括支援センター
 27、28の両日行われる鹿児島県内の東京五輪聖火リレー。そのスタート地点となる志布志市では、市地域包括支援センター職員の立山(たちやま)颯大(そうだい)さん(24)=同市有明町山重=が、車いすランナーとして参加する。将来を期待された水泳選手だったが、交通事故で人生が一変。「水泳で五輪出場」という夢を福祉の道に切り替えた。「自分を支えてくれた家族や周囲のために感謝の気持ちを込めて走りたい」と張り切っている。

 小学2年からスイミングスクールに通い始めた。タイムが縮むのがうれしくて「大きな大会に出たい」と思うようになり、地元のクラブチームに入った。

 中学3年のとき、全国中学総体の50メートル自由形で優勝、国体にも出場した。志布志高校進学後も国体、インターハイで活躍。同じクラブ、高校の2学年先輩に山口観弘(あきひろ)さん=元世界記録保持者=がおり、「山口2世」と呼ばれた。

 高校1年の冬、順風満帆の成長株に悲運が降りかかる。練習後、帰宅途中に交通事故に遭い頸椎(けいつい)を骨折。胸から下の自由を奪われた。「将来は水泳で五輪に出たいと思っていた。現実を受け入れられなかった」

 絶望の淵に沈んだ立山さんを救ったのは恩師や仲間の励ましだった。「常にポジティブ。前だけ見ていろ」「諦めない心」。入院中にもらったTシャツに書かれた応援メッセージに心を打たれた。「自分はポジティブな性格だったんだ」と気付かされた。

 事故を経験し医療ソーシャルワーカーらと関わり、福祉に興味を持った。「人のためになる仕事がしたい」。鹿児島国際大学福祉社会学部に進み、社会福祉士の資格を取得した。

 大学を卒業し今の職場で働き始めて1年。「資格を生かす仕事をしたい」と新たな夢を思い描く。「自分がここまで来ることができたのも家族や恩師、仲間、地域の方々のおかげ。聖火リレーで地元を盛り上げることができれば」と力を込めた。
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