時計 2021/04/17 23:00

「入荷しました」「質バッチリ」大麻汚染、鹿児島でも広がる 摘発者の7割は10~20代 SNS介し直接売買も

大麻取引をうかがわせるSNSの画面と、たばこに乾燥大麻を詰めて吸うイメージのコラージュ
大麻取引をうかがわせるSNSの画面と、たばこに乾燥大麻を詰めて吸うイメージのコラージュ
 鹿児島県警が大麻取締法違反容疑で昨年摘発した33人のうち、10代と20代は計24人と7割超を占め、ここ10年で最も多かったことが分かった。男子高校生=当時=が含まれ、家裁送致されていたことも捜査関係者への取材で判明。全国と同様、県内の若年層にも大麻汚染が広がっており、県警などは「ファッション感覚で抵抗感、罪悪感を持たずに手を染めるケースが多い」と警鐘を鳴らす。

 “手押し”という言葉が会員制交流サイト(SNS)で大麻取引に関する隠語と聞き、ツイッターで試してみた。検索目印の「#」(ハッシュタグ)を付け「鹿児島手押し」と入力。それらしき文章が次々と出てきた。

 ブロッコリーの絵文字が大麻らしい。その後に「あります」「入荷しました」と続く。「質バッチリです」「話だけでも」といった誘い文句も目を引く。

 NPO法人ネットポリス鹿児島=鹿児島市坂元町=の戸高成人理事長(56)は「通販サイトでの入手が主流だったのは一昔前」と語る。現在は一定時間でメッセージが消える通信アプリ(テレグラムなど)を介し、直接会って売買するケースも目立つという。

■入り口

 「(大麻を)やっているなと思う人がたまに通る」。鹿児島市天文館地区で客引きをする20代男性が語る。「目の焦点が合わず、表情も酔客とは明らかに違う」と証言する。

 同地区の20代の男性飲食店員は「大麻をやっている知り合いに誘われたが、断った」と明かす。数年前、友人がたばこの中身を半分取り出し、乾燥大麻を詰めて吸っているのを見た。「何でもないことですぐに笑う。変な酔い方をした感じ」と振り返った。

 大麻取締法違反容疑で2020年に摘発された10代は9人。11年から19年まで年間2人が最多だったが、一挙に増えた。同じく20代は19年の3倍の15人に上った。

 薬物に関わる少年事件を扱う山口総合法律事務所=霧島市隼人町見次=の坂田洋昭弁護士(34)は「大麻がゲートウエー(入り口)ドラッグとなり、より強い刺激を求めて覚醒剤に手を出すケースも少なくない」と指摘。若年層の大麻事件に詳しい別の弁護士は「海外アーティストがやっているとか、(たばこよりは)健康被害が少ないなどの理由で使っている」と懸念する。

■興味本位

 複数の捜査関係者によると、摘発された少年らは同じ仲間内で犯行に及んでいたケースが目立つ。

 薬物乱用防止指導員鹿児島地区協議会(鹿児島ウィル)の川島葉留美会長=鹿児島市谷山中央1丁目=は「昔のシンナーと同じように『周りがやっているから自分も』といった集団心理が働いているのでは」とみる。

 新型コロナウイルス下で啓発活動の自粛を余儀なくされ、「地域の見守りの目が確実に少なくなっている」と川島会長。戸高理事長は「非行集団から抜け出せない少年も多い。周りの大人に相談する環境づくりが必要だ」と強調する。

 県警組織犯罪対策課は「知人から大麻を勧められ、興味本位で安易に使う傾向がある」と説明。「犯罪組織の資金源となって社会の平穏を脅かす恐れがある」とし、取り締まりと広報活動を強化する方針だ。